第二十三話 〜なまえをよんで StrikerS Ver.【暁 Ver】
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めば良いのか。
「亀の名前は決まったの?」
「……まだ。せんせいにつけてもらう」
これに驚いたのは『先生』こと、なのはさんだ。テーブルに着き、食事を再開しようとしていた箸が止まる。
「聞いてないよ」
「……いま、言ったからな」
なのはさんは助けを求めるように周りを見渡すが、誰一人として視線を合わそうとしない。薄情だと思うなかれ。そこにアスナが絡むのであれば致し方ない事なのだ。恐らく戸惑っているであろうなのはさんと、自分が注文したお子様ランチに立っている旗を不思議そうに見ているアスナの対比が、可笑しくて思わず吹き出しそうになったが、何とか飲み込んだ。
なのはさんは諦めたようにお味噌汁を手に取ると、艶のある唇をお椀につけた。ほっと息を吐くと同時に何事か呟いたが、あたしには聞こえなかった。だが、なのはさんの隣にいたこの娘は違ったらしい。
「……かわいい」
「え?」
「……きにいりました」
「ん?」
「……さすが、せんせいです」
混乱と困惑。なのはさんの顔は、正にそんな表情だった。それでも彼女は『不屈のエース』と呼ばれた魔導師なのだ。この程度で屈することなどあり得ない。
「でしょう?」
なのはさんは、アスナに花が咲くように微笑むと、しれっと言い放つ。なんのことやらさっぱりわからないが、取り敢えず同意しとけ。という感じだろう。恐らくだけど。アスナは自分の頭に乗っていたそれ──── 亀を手に取ると誇らしげに。何の意味があるのか、向かいに座って食事をしていた八神部隊長に突き出した。
「……今日からこの子は、めかぶちゃんです。女の子なので」
八神部隊長は眉一つ動かさずに、ちぎったクロワッサンを口へと放り込む。そして、なのはさんへ哀れみの視線を送りながらこう言ったのだ。
「ええ、名前やな。流石なのはちゃんやで」
なのはさんの樣子を横目で伺うと、肩を落とし項垂れながら、お味噌汁のお椀を恨めしげに見つめていた。なるほど、めかぶのお味噌汁だったのか。……気持ちはわからないでもない。なにせこれからずっと、「亀に『めかぶ』と名前をつけた高町なのは」と言われ続けるのだ。
八神部隊長へと突き出された亀……めかぶはやっぱり迷惑そうに手足をじたばたと動かしていた。早く降ろせと抗議しているのか、自分の意思とは無関係に決まってしまった名前に抗議しているのかはわからないけど。
「高町。いつまで落ち込んでいる」
シグナムと高町なのはは、六課で保護した少女の検査が終了したとの連絡を受け、フェイトから借り受けた愛車で一路、聖王医療院へと向かっていた。
「本人が気に入っているのだから、いいだろう」
シグナムはそう言
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