第二十三話 〜なまえをよんで StrikerS Ver.【暁 Ver】
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────── きみのなまえは
前回の事件から数日が経った。身元不明である少女の保護から始まったあの事件は、これから起こる大きな事件の前哨戦に過ぎなかった。或いはもっと前から始まっていたのかも知れないけれど。
あの事件で負傷したのは、あたしとアスナ。あたしは全身を強く打ったのと、口内の裂傷で全治一週間。アスナは左腕の打撲と、頭部への強打。何れも軽傷というレベルなので、シャマル先生の治療魔法の出番はなかった。シャマル先生曰く、安易に治療魔法に頼るのは良くないとのことだ。緊急を要さなければ、人間が本来持っている自然治癒力に任せた方が良いと言うことなのだろう。
そんな八神部隊長と愉快な仲間達は、食堂にて年頃の少女よろしく他愛もない話に花を咲かせながら食事を摂っていた。しかし改めて見渡してみると、六課の食堂は清潔で綺麗だ。簡素なデザインではあるが、数人が食事できる強化ガラス製の丸テーブルが幾つも置かれ、大きな窓からは日差しがよく差し込む。ちょっとしたカフェのような雰囲気だ。
「ねぇ、ティア」
「なに?」
「さっき、凄い珍しいものを見ちゃった」
「珍しいもの?」
「うん。アスナにね? あたしが考えた例の技名を教えたらね」
「うん」
「凄く目を丸くしてた。あたしのハイセンスなネーミングに驚いたみたいだね」
「そう……」
さもありなん、だ。『稲妻駝鳥蹴り』とか言われたら、誰だってそんな顔をするだろう。あの時、無表情を貫いたあたしを誰か褒めて欲しい。スバルとそんな会話を交わしていると、件の人物がトレイを両手に持ちながら、危なっかしい足取りで近づいてくる。アスナと言えば、最近になって『虫遣い』の名が付いた。あたしとしてはぎりぎりまで隠しておきたかったが、なのはさんが起こしたゴキブリ騒動以来、広く知れ渡ることになってしまった。
一度、ヴァイス陸曹が揶揄い半分で、その事ををアスナに言った事があるが、その時アスナは「……よこむきにしか歩けないからだにしてやる」と言い放った。それ以来それを口にする者は誰もいない。誰だって蟹の気分を味わうのはご免だからだ。あたし達とテーブルが一緒になったなのはさんが、見兼ねたように小走りでアスナに走り寄っていく。
「最近、仲いいね。なのはさんとアスナ」
「例の騒動からでしょ。……こうもあっさり懐かれると、少し腹立たしいけど。あたし達の苦労はなんだったのよ」
「苦労したもんねぇ」
「それを考えると、いいことなのかも知れないけど」
なのはさんにトレイを持って貰い、ふらふらとあたし達のテーブルへやってきたアスナの頭に載っている緑色の物体をチラ見しつつ声をかける。最近は皆のスルースキルが上がってきてるのを喜べば良いのか、悲し
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