暁 〜小説投稿サイト〜
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Epos5八神家の日常〜Pet Capriccio〜
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昨日、犬を拾った土手に来た。土手を歩いていると、土手下の川原にお爺さんとお婆さんが居て、何かを捜すかのように草むらを掻き分けてた。お爺さんは「チヨー!」、お婆さんは「チヨちゃーん!」って名前らしきものを呼びながら犬を見つけた鉄橋下の草むらへ向かってく。犬を見れば耳を動かして辺りを見回してる。あぁ、あの人たちが犬の飼い主なんだ。ここで犬を連れて帰れば・・・。
(って馬鹿かあたしはっ。あの人たちの家族を奪っていいわけあるかよっ)
家族の大切ははよく判ってるつもりだ。だから「犬。ご主人様のところに帰る時間だ」犬を抱き上げて土手を下りる。お爺さん達に近づくにつれ犬が鳴き始める。するとお爺さん達がこっちに振り返って「チヨ!」表情を輝かせた。
「ほら、行け」
犬を地面に降ろすと犬は一直線にお爺さん達の方へ向かって走って行った。あたしは踵を返してこのまま帰ろうとした。だけど「お嬢ちゃん!」呼び止められたから立ち止まる。
「お嬢ちゃんがチヨを助けてくれたのかい?」
「えっと、うん、まぁ、そうです」
お婆さんに抱かれて嬉しそうにしてる犬。これで良かったんだよな。
「ありがとうね、お嬢ちゃん。チヨはどうもやんちゃ過ぎるようでね。よく迷子になってしまうんだよ」
「そうなんですか。・・・もう迷子になるんじゃねぇぞ」
迷い癖なんて厄介なもんを持ってたんだなお前。犬を拾ったことに対してのお礼を、とか言われたけどあたしは丁重に断った。ルシルに金を使わせたことはちょっと悪ぃかなって思うけど。
「それじゃああたしはこれで」
お爺さん達に小さくお辞儀してから「元気でな、チヨ」犬の本当の名前を呼んで別れを告げた。背中に何度もお礼を受けて、あたしはトボトボと土手を歩いてはやての家に目指す。ほんのちょっと前まで1人じゃなかったのに、今は1人だ。
「・・・なぁに。あたしは家族の元にチヨを戻してやれたんだ。胸を張ったって・・・いいんだ・・・」
あたしはルシルに思念通話を繋げて犬を飼い主のところへ戻したことを報告して、飼い主捜しのチラシの回収も頼んだ。するとルシルが『偉いぞ、ヴィータ。よく頑張ったな』なんて優しい声でそんなことを言ってきた。
なんでか鼻がツンとして胸がキュッと痛んだ。しかも「うえっ? あたし何で泣いてんだ・・・!?」涙が出て来るし、意味が解んねぇ。たった1日だけじゃねぇかよ、犬と過ごしたの。たったこんだけであたし、泣いちまってんのか?
『ゆっくりと帰ってくるといいよ。美味しい朝ご飯、はやてと一緒に作って待ってるから』
ルシルはそれだけ言って思念通話を切った。んだよ、礼くらい言わせろよな。あたしは泣いたことをルシルにはもちろん、はやて達にも知られたくないから・・・。
「もうちょっとだ
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