ターンEX−2 鉄砲水ともう一つの『真紅』
[16/16]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ぐらをつかんで無言で締め上げる。と、その服の胸ポケットが不自然に膨らんでいるのが目についた。引っ張り出してみると、その中にはキャラメル箱ほどのサイズの用途不明なケース。
「富野、これ」
いくら見てもわからないらしく、あっさり富野に渡している。だが、富野はそれを一瞥するとそのまま投げ返してきた。
「ほらよ、約束のブツだ。蓋あけるだけで中身は勝手に体に戻るぜ」
「そりゃどうも。じゃ、早速………ん?」
蓋を開けようと手に力を込めると、富野が彼のことを見ているのに気が付いた。そのまま何か言いたそうにしているのを見て取ったユーノが、ため息を一つついて自分から適当に話を振ってみる。
「なんかまだ言いたいことでもあんのか?あ、そっちで廃人になってるのはちゃんと持って帰ってくれよ」
「そ、その……」
「なんだ違うのか。はよ言ってみろよ」
「今回は、なんだ、俺も世話になったな。だけどな、次はお前を倒す………転生者は、許さねえよ」
そう言って遊の体を担ぎ上げるとくるりと後ろを向き、そのままどこかへ歩いて行った。おそらくシルクハットマンのいるところにでも帰るのだろう。
「ま、上等だけどな。返り討ちにしてやるぜ」
その姿が見えなくなった辺りでぽつりと一言つぶやき、プシュッと箱の蓋を開けた。その後しばらくして植物人間状態だった清明が目を覚ましたことに鮎川先生が驚きのあまり椅子を蹴倒したり朝一番の登校前に見舞いに来ていた夢想や十代といった面々がどかどかと入ってきて保健室がカオスな状態になったりと色々あるのだが、それはまた別のお話。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ