ターンEX−2 鉄砲水ともう一つの『真紅』
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『………クソッ』
保健室の一角、窓際に位置するベッドの一つ。さっきまでは見舞い客たちでにぎわっていたそこも、今では鮎川先生に消灯時間の関係で追い出されたため誰もいない。だが、それは精霊の見えない人間が見た時のこと。見るものが見れば見えただろう、シャーク・サッカーを肩に張り付かせてベッド際にたたずむ一人の少年の姿を。
そんな彼の背に、どこからともなく言葉がかけられた。
『貴方のせいではない。私が、もっと強ければ!五千年前と何も変わらない!自分と契約した人間一人も勝たせることができなくて、何が神だ……!』
『………いやチャクチャル、気持ちはありがてえけどそうじゃない。あの手札じゃ他に発動できるカードもなかったし、あのデュエルにミスはどこにもなかった。ただ、勝てなかっただけだ』
『…………ああ、そうだな。すまないな、柄にもなく取り乱してしまって』
その言葉を合図にしたかのように、再び部屋を沈黙が支配する。その空気を最初に破ったのは、今度はユーノだった。
『なあチャクチャル、こーゆーのはお前の専門だろうから聞いておくけどよ。………こいつの、清明の魂は今どうなってんだ?』
清明が今昏睡状態なのは、闇のゲームによって魂を抜かれたから。このまま植物状態の寝顔を見ていても回復の見込みがないが、それは裏を返せば魂さえ戻ってきたらすぐに目を覚ます、ということでもある。そして、そんな方法があるんだとすればそれを知るのは闇のゲームを仕掛ける側でもある地縛神をおいてこの中にはいない。そう思っての質問をしかけたが、返ってきたユーノの予想の斜め上を行く答えに驚いて聞き直している。
『それができるようなら私が自力で地獄の底からでも引きずり出している。ただ、妙な点がある。私の心当たりのある世界すべてを回ってみたが、どこにも清明の魂がいない』
『魂がいない?』
さっぱりわからない、といったユーノの顔を見かねてより詳しい説明に入っていた。
『そうだな、では最初から説明しよう。まず闇のゲームだが、これに負けて魂が抜けたからといって全てのパターンでそれがその場で消滅するわけではない。抜き取ったうえで一時保管し、その後は勝者の勝手というのが基本だ』
『何それ初耳』
『ふむ、少し性質は違うがあのアニメで未来の私が負けた時も私召喚のため生け贄になった魂が元に戻っていただろう。あれと似たようなものだ』
『なるほど納得。ってことは、まだ希望はあるってことか』
そういうことになるな、と返すチャクチャルア。だがそのあとにただ、と暗い声で付け加えた。
『その肝心の魂がどこにいるのかがさっぱりわからない。どこを探っても痕跡すら見つからないのは初めてだ。………それが分からない限り、何もできることはない』
『難しい話は俺にはよくわから
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