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26歳会社員をSAOにぶち込んで見た。
第三話 PlayerKiller
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実から目を逸らしたいのか。
 ただ、俺は何度も、フレンドリストを開いたり、閉じたりを繰り返している。
「……馬鹿野郎」
 ただ、口から出た言葉は、その一言だけだった。
 二人に向けてかける言葉がそれというのは、あまりにも、おかしい話ではあった。
 だが、それしか、出てこなかったのだ。
 死んだら、何にもならない。
 死んだら、二度と戻ることはない。
 永遠の喪失とはそういうものだ。
 ここが少年漫画の世界で、愛と勇気でどうにかなるシナリオだったなら。
 ここがアニメやドラマの世界で、希望と可能性が溢れる世界だったら。
 どれだけよかっただろう。
 サニーさんもホイミもいなくならなかっただろう。
 きっと俺みたいなモブキャラは号泣していたのだろう。
 だがどうだ? 涙一つすら出やしない。
 それどころか、俺は今、こう思ってる。
『俺もこうならないように、生き延びなければ』、と。
 二人の死を教訓にして、踏み台にして、生きる意味を再認識している。
 わかっている、わかっていた。
 だが目を逸らしていたんだ。
 この世界では、生き残らなければ、死ぬ。
 たったそれだけのシンプルな理由を、俺は日常という言葉で有耶無耶にしていた。
 日常なんてものは、現実でも、ゲームでも、こんなに簡単に崩れ去る。
 現実と非現実の狭間なんて、実はそんなにないんだ。
 二十六年間生きてきて、それをわかっていたつもりになっていた。
 でもそんなことは全くと言っていいほどなくて。
 こんな場面に直面してから、ようやく実感できたんだ。
『戦わなければ生き残れない』『疾走する本能』『目覚めろ、その魂』
 どこかで聞いたキャッチコピーが、頭の中でぐるぐる回る。
 そうだ……俺は、死なないために、戦う。
 今まで胡坐をかきすぎていた。
 大人気ないと思って少しだけ、自重していた。
 ダメな大人でも、本気にならなきゃダメだ。
 だから、本気でやろう。
 ゲームをやってる子供達に、見せてやらないといけない。
 ダメな大人でも、本気でやれば、凄いってことをな……!
 装備している大剣を眺め、少しだけ、己を奮い立たせる。
 こんな大剣じゃもうダメだ。
 本気でやるなら、本気の武器を。
 幾ら苦労してでもいいから、大人の武器ってやつを、作らないとな……!
 そう思いながら、立ち上がる。
 まずは、素材を集めに行こう。
 夜だろうと関係ない。 思い立ったらまずやる。
 それがきっと最良で、最善で、俺の意思の強さを確認させてくれるだろうから。
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