第三話 PlayerKiller
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で、酷く戦いづらい相手だった。
サニーは攻略組に属しているだけあって、並大抵の敵は敵でないほどにレベルが高かったし、何より、攻略方を知っていた。
しかし、目の前の敵は、そんな常識は、一切通用しない相手だった。
何しろ、眼前の敵はPK。
天国に最も近い、最速の殺人鬼。
「くそ……あの時の借りを返しに来たっていうのか……!?」
サニーはそう言って、スキルエフェクトを振りまきながら手に持った槍を振り回す。
彼の槍のスキルは、棍スキルと複合したエクストラスキルになっており、『突く』、だけでなく、『振り回す』ことも可能だった。
実際、これは非常に有効で、飛んでくるナイフを叩き落すのには最良の手だった。
しかし問題がある。
まず、天国の扉の姿が見えないことである。
最速と自称するだけあって、超高速で動き続けるその姿は、既に肉眼では捉えられないレベルまで行っていた。
つまり飛んでくるナイフの軌道が一切読めない、絶望的な状況。
さらに、ネットゲームと言えど、ここはSAO。
視界はあくまでも、『キャラクターの視界』で、前を向いている方向しか見えない。
あくまでも、キャラクターの背中を見ている視点ではない。
つまり背後に飛んできたナイフに関しては対応が非常に難しいのだ。
さらに、死角は背中だけではない。
空間、立体的な攻撃が可能なSAOだからこそ、上から攻撃が飛んでくることもある。
木々の隙間を縫いながら、冷く光る銀色の死が飛び交っているのだ。
ナイフに気配はない。
ただ、風切り音だけは聞こえる。
だからこそ、サニーは音だけを頼りに槍を振るっている。
見えない相手、四方八方から襲い掛かるナイフ。
これほどやりにくいものは、かつてないほどなかった。
逃げたホイミの心配をしながら、サニーはどうにかして策を考える。
仲間を呼べば助かる可能性はある。
実際、ナイフの一撃一撃の攻撃は高くない。
攻略組であるサニーにとって、10発程度攻撃を食らったところで死ぬわけではない。
だからその間に、連絡を取る、という手段もある。
だが問題はその後だ。
来るまでの時間がかかるし、何より……。
SAOで厄介なシステム、刺さったナイフは継続ダメージとなってサニーのHPを蝕むのだ。
通常、SAOには4つのダメージタイプがあり、それぞれ、刺突、打撃、斬撃、貫通である。
その中で継続ダメージが発生するのは、通常貫通武器のみ。
今回のナイフは斬撃に該当し、通常ならば継続ダメージが発生しない。
しかし、それは通常の場合の話である。
天国の扉の投擲スキルの一つにより、投げた武器に全て貫通ダメージの付与の効果が与えられていた。
よって、投げられているナイフは全て貫通効果
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