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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
番外編「オーバー・スペック 前編」
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黄櫨は軍用級のスペックを誇るISだが、競技用に多くのリミッターがかけられているためカタログスペックではこちらの方がパワーが上だ。純粋な槍としての重量もこちらが上なら苦戦はすれど戦えない事は無い。

「更識流の取り柄が徒手だけでは無い所・・・魅せてア・ゲ・ル♪」

逸らした上体から、そのサイズからは想像もつかない速度の多段突きを浴びせる。すぐさま動きを察知したジョウが熱天の矛を器用に取回して正面から迎え撃たれた結果、通常の槍術では起こりえない突きの速さ比べが発生した。
相手が次に放ってくる槍のタイミングと位置を正確に先読みし、こちらへ矛先が当たらぬように突きを放ち、結果として二人の矛先は幾度となく激突を繰り返す。一瞬の判断ミスと手元の狂いが敗北を招くこのラッシュは先に降りたほうが負けるチキンレースであるが故、互いの手は緩まることを知らなかった。

その間に槍と槍のぶつかり合いで宙に散ったアクアナノマシンは順調に滞留していく。ここがもっと狭い空間ならば清き熱情(クリア・パッション)の爆発を利用した戦法が取れるのだが、例え密閉空間でなくともアクアナノマシンには複数の使い方が存在する。それを可能にするだけの時間さえ稼げれば―――と、そう考えていた楯無だったが、その時間稼ぎこそが最難関であるという事実をとうとう覆せなかった。

熱天の矛が手首の鋭い回転を乗せた突きで蒼流旋を弾いた。楯無が槍を繰り出す際に纏わせていたアクアナノマシンの不規則な水流回転を読みきり、斧部分で”そっと”引っかけたのだ。

アクアナノマシンは本質的には水。高速回転させたそれは流れが速ければ速いほど遮られたときの衝撃は大きくなる。更に言うならば水は高速で突入してきた物体に強く反発する。アニメや漫画で高高度から海に落下した人間が生きているなどといシチュエーションがあるが、実際には高さ5メートルを超えた高度からの飛び込みでさえムチ打ちや脳震盪、果ては内臓損傷のリスクがあり、それ以上だと骨折もあり得ることを考えるとどれだけ非現実的かが分かるだろう。飛行機からの落下などパラシュート無しならバラバラ死体まっしぐらである。
その妨害による反動はミステリアス・レイディのカタログスペックで抑えられる運動量を軽々と突破した。

「ちなみに俺の専門は実は槍術だ」
「・・・・・・それ、真面目な話?」
「次点で投げ技な。ちなみに斧は3番目だ」

絶望しか見えない。


後半へ続く・・・
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