暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第百四十五話 安土築城その十四
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「上人も戦われていたな」
「はい、闇の者達と」
「まだ残っていたまつろわぬ者達と」
「親鸞上人は民を惑わす闇に引き込もうとする悪人と戦われていた」
 これは本願寺の一部の者達が知っていることだ、親鸞が密かに闇のまつろわぬ者達と戦っていたことをだ。
「日本武尊、聖徳太子、天智帝、天武帝」
「行基菩薩もでしたな」
「あの弓削の道鏡も」
 妖僧と言われている道鏡も違ったというのだ、実は。
 彼は孝謙女帝を助けまつろわぬ者達と必死に戦っていたのだ、このことも一部の者しか知らないことである。
「役小角、安倍晴明そして歴代の政を担っていた者達も」
「空海上人、最澄上人も」
「全てですな」
「まつろわぬ者達と戦い」
「そしてですな」
「それで彼等を抑えてきました」
「最早いなくなったがな」
 顕如はこう見ていた、最早この国にまつろわぬ者達はいないというのだ。
 それでだ、こうも話すのだった。
「親鸞上人は大きな働きをされた」
「あの頃は特に高僧の方が多かったですし」
「それで、ですな」
「あの方々もおられて」
 ここでは法然や日蓮等もだ。実は鎌倉時代では高僧達がまつろわぬ者達の多くと戦ってきたのだ、これは決して語られないこの国の裏面の話だ。
 それでだ、こうも話すのだ。
「まつろわぬ者達は大いに衰え」
「遂には滅びました」
「最早まつろわぬ者達はおりませぬ」
「この国には一切」
「その通りよ、しかし闇は悪とはまた違う」
 人がどうしても犯してしまうそれとはだというのだ。
「悪は仏法に定められながらどうしてもあるもの」
「そして悪人はそれをどうしても犯すもの」
「だからこそ」
「灰色なのじゃ」
 それになるというのだ。
「白になりたくとも自分達では善にはなれぬからな」
「だから善ですね」
「そうですね」
「うむ、白即ち善になりたくともなれず闇にも堕ちぬ」
「それ故の灰色ですね」
「民は」
「それが悪じゃ」  
 まさしくそれだというのだ、それでだった。
「我等の色は灰色となる」
「民の色ですな」
「まさに」
「うむ、その通りじゃ」
 こう話してそしてであった、顕如は信長が若し門徒に何かをしてくればというのだ。
「拙僧を罵ろうが貶めようがいいがな」
「それでも門徒を害すればですか」
「救われるべきあの者達を」
「立ち上がる」
 その時はというのだ。
「よいな」
「はい、それでは」
「その時は」
「その備えをしてじゃ」
 そうしてだというのだ。
「よいな」
「畏まりました」
 顕如は織田家とはいざとなれば全てを捨てて戦うつもりだった、その覚悟もしてそのうえでこれからのことを考えていた、彼もまた巨大な資質の者であるが故に。
 灰色の旗は今は立っていない、しか
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ