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八条学園怪異譚
第四十八話 薔薇園その五

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「妖精と妖怪は非常に近い」
「イギリスの話よね、確か」
 聖花がここでこう言った。
「そうよね」
「そうだ、イギリスは妖精の話が多い」
 フランケンはイギリス出身の狼男に顔をやりながら聖花、そして愛実に話す。
「妖精と妖怪は非常に近く妖精は悪魔と考えられる場合もある」
「じゃあ妖精学と悪魔学も」
「また近い、しかしどれもだ」
「源流は神学になるのね」
「むしろ西洋の学問は全て神学からはじまると言っていい」
 キリスト教、それを学ぶことが西洋の学問の本筋だというのだ。フランケンは学者に生み出されたからであろうか実に理知的な顔で話すのだった。
「そこからな」
「神学から法学と哲学が生まれた」
 今度はミイラ男が話す、エジプトというキリスト教とは基本的に外にいる世界の国から。
「そして医学もキリスト教の下にあり理系もだ」
「それもなの」
「文学とかも」
「全てキリスト教からはじまる」
 それが西洋の学問だというのだ。
「動物学も植物学もだ」
「全部キリスト教からなの」
「はじまるの」
「うむ」96
 その通りだというのだ。
「そうなる」
「ううん、何か日本の学問と違うわね」
「そうよね」
 二人はここまで聞いてお互いに話した、今もパンを食べている。
「日本だと結構独立してるわよね」
「そうよね」
「今の私達の授業でもね」
「国語、英語、数学、社会、理科でね」
「数学と物理は近いけれど」
「独自性強いわよね」
「しかし西洋は違うのだ」
 ドラキュラが話す。
「あらゆる学問、芸術に至るまでだ」
「神様なのね」
「そこからはじまるのね」
「そうなのだ、ローマ帝国で国教と定められてからだ」
 まさにそれからだ、かなり古い。
「欧州の学問も芸術も全てまずは神からだ」
「うわ、そこまでいくのね」
「その神学からなのね」
「音楽は神を讃えるものだ」
 教会、そこからはじまるのだ。
「美術もまた、な」
「日本と本当に違うわね」
「そうよね」
 二人はこのことを実感してお互いに話した。
「日本の宗教って沢山あるからね」
「神道に仏教にね」
「天理教もあればね」
「そのキリスト教も」
 キリスト教も存在している、本当に日本の宗教は多い。仏教にしても様々な宗派が存在していてこれだと言えない。
 そしてキリスト教もだ、これが。
「カトリックもプロテスタントもあるわよね」
「ごく普通にね」
「あれはまずないぞ」
 フランケンはカトリックとプロテスタントの混在を指摘した。
「ドイツでは大変だった」
「三十年戦争ね」
 聖花はフランケンにこの戦争のことから応えた。
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