TURN108 トライアスロンその二
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「それでだよ」
「祖国だからなんだ、僕が君の」
「自分の祖国さんは大事にしないとな」
「駄目だっていうんだね」
「ああ、それ位はちゃんとしないとな」
「君って鬼畜だけれどそういうところはちゃんとしてるね」
確かに鬼畜だが人として最低限守らないとならないことは守っているというのだ。
「実際のところは」
「そうか?」
「うん、シィルから話を聞いてもね」
彼のこれまでの行動もだというのだ。
「そうしたところはね」
「褒めてもメイド喫茶以外何も出ないぜ」
「いや、充分出てるから」
メイド喫茶自体がだというのだ。
「それでね」
「そうかね」
「そうだよ、じゃあこの競技もね」
「優勝するぜ」
こう言ってそしてだった、ランスは優勝を狙って競技に赴く。
スカーレットは真希のところに来てだ、こう言った。
「お母さんを見ていてね」
「お母さん頑張ってね」
「優勝したらね」
真希の目線でしゃがんで優しい顔で語る。
「真希にとっておきのプレゼントをしてあげるわ」
「プレゼント?」
「共有主義は貨幣がないから賞金は受け取らないけれど」
だからこれはなかった、まだ頑なに共有主義者のままだった。
「それでもプレゼントはあるわよ」
「どういったものなの?」
「メダルよ」
優勝の時に貰えるそれだというのだ。
「それを貴女にあげるわ」
「えっ、私に金メダルくれるの!?」
「ええ、そうよ」
その通りだというのだ。
「期待していてね」
「うん、それじゃあね」
真希は目を輝かせて母の言葉に応えた、そしてこうも言った。
「お父さんもメダルくれるっていうかな」
「そうなの」
スカーレットは東郷、夫の名前が出ると微妙な顔になった。
「真希に私と同じものを」
「優勝して金メダルをくれるって言ってるの」
「いえ、お父さんは真希に金メダルをくれないわよ」
少し意固地になった感じでだ、スカーレットは真希に答えた。
「銀メダルが限度よ」
「銀メダルって二番目よね」
「そうよ」
一番ではないというのだ。
「一番になるのはお母さんだから」
「私に金メダルをくれるの」
「そうよ」
その通りだというのだ。
「だから楽しみにしていてね」
「私、お父さんとお母さんが競争するより」
共有主義のことはわからない、だがそれから争うことはというのだ。真希は憂いのある顔になって母に言う。
「仲良くしてね」
「仲良く?」
「金メダルとか銀メダルよりも」
こう憂いのある顔での言葉だった。
「そういった方がいいけれど」
「もう少しよ」
スカーレットもわかっていた、真希の気持ちは。
しかしそれでも共有主義者としてだ、こう言ったのである。
「それはね」
「今すぐじゃないの?」
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