ウェルカム・トゥ・ザ・サマー
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…いい?」
「一夏にか? 正直に話せばいいだろ? そして好きだと言ってキスしろ。昨日よりももっと濃厚なやつをな。それでさすがの一夏も鈴の気持ちに気づくだろう」
そんなこと出来るかと怒鳴りながら、俺の頭を平手で殴った鈴は、俺の部屋を去っていった。
この時の俺は女子のパワーを過小評価していた。
確かに世間を騒がせるような事柄だが、あれは事故だったと知れば、すぐにでも噂なんて消えてなくなるだろうと思っていた。
しかし実際は、気づかぬ内に噂は光の速さを超えるような勢いで学園中を駆け巡っていた。
夏休みが開ける頃に耳にした俺の噂は、女性週刊誌の表紙を飾れそうなキャッチフレーズとともに、不倫男だとか山田先生に飽きて若い女に走った男だとかそんな醜聞が飛び交うことになる。
鈴は俺に騙された憐れな女子ということになっていたらしい。
この噂によってしばらくの間、女子たちは俺に近づくのを躊躇っていたんだが、これを利用したのが一夏回りにいた女子五人である。
俺には常に一夏のそばにいろと言っていた。
最初は何でなのかと不思議に思っていた俺だが、どうやら一夏に他の女子たちが近づかないよう虫除け代わりに利用したらしい。
まったく逞しいことだな。
今回のことで俺が得るべき教訓は、ラッキースケベ的展開も実は良いことばかりじゃないということだろう。
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