第2部:学祭1日目
第7話『再会』
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んその様子を、憂と純が見ていることには、気づいていなかった。
ようやく、お互いの口が離れた。
気がつくと2人とも、冷たい床の上に倒れている。
唯が、誠に覆いかぶさる形で。
2人とも、今の出来事で、体も顔も熱くなっていた。
額が、汗ばんでいる。
「平沢……さん……」
紅潮状態で、目も薄目で、誠はささやくように言いかけた。
「だめ」
唯が強い声で、それを制止する。
「え?」
「私のこと、名前で呼んで。
ゆ、い。
って」
「え……そんな……」
唖然とした。
もはや何が起きたのか、分からなくなっている。
それでも何とか理性を保って、
「ちょっと待って、俺のほうが平沢さんより年下じゃ……」
「そんなの関係ない。1歳しか違わないんだし。それじゃ声も出ないなら、唯ちゃんって呼んで」
ぼんやりした表情で、誠は、
「……唯……ちゃん……」
「ありがとう、マコちゃん」
唯は耳元で、囁いた。
「え?」誠は目を丸くして、「マコちゃん?」
「そう、誠君だから、マコちゃん。やっと言えた……」
「そうか……。うれしいな……。」
別にあだ名で呼ばれてうれしいはずはないが、なぜか、うれしく感じられた。
誠の胸のあたりで、唯が頭を預けていた。思わずポヤーンとしてしまう。
というより、この短時間の間に、様々な出来事が起きすぎて、ただ、頭がマヒしている。
とはいえ……。
これでいいのか、とも思う。
自分が堕ちていくだけじゃない。
唯の純粋さ、純潔さまで、彼女がアタックし続けることで、穢れていくのではないか……。
そんな思いが、こまつぶりのように頭の中で回転していた。
そばにいてほしい。
でも、自分も唯も、それでいいのだろうか……。
「唯ちゃん、言葉のところへ、行かせてくれないかな……?」
返答を待たず、誠は唯を跳ねのけて駈け出した。
「マコちゃん、やっぱり、駄目なの……?」
潤んだ目で、唯は呟く。
「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
一部始終を見届けた純は興奮状態。
「すっご! すっご! すっご! 唯先輩、積極的!! 自分から男にキスするなんて!!
絶対いいカップルになるわよ!! ね、憂……憂……?」
憂の姿は、どこにもなかった。
「憂―、どこー?」
「古今東西、ジブリ映画の名字の最初と名前の最初を入れ替えて!」
「ポケの上のガニョ!!」
「ガニョって何……?」
「菅と千尋の蝉隠し!」
「何その蝉隠しって……」
「瀬渡元気!!」
「なんか子供向けの本みたい」
「サクリコ……コカから」
「語呂悪いなあ……」
古今東西ゲームで、みなが様々な突っ込みを入れる中で、梓は不安な思いがドロド
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