第2部:学祭1日目
第7話『再会』
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3組の喫茶店で見かけた、セミロングヘアーに1本のアホ毛を垂らした少女。
もう1人は中学1年生ぐらいの小柄な体格で、赤いリボンをした子。
「ほんっと、世界も好きだね……まさか軽音部のファンクラブに入りたいなんて」
小柄な少女が、もう1人の少女に話しかける。
「刹那も人のこと言えないよ」
世界は笑いながら、言った。
「女の子……出来たら男……むぐっ!」
「あ、あ、ありがとうございます!! 是非とも加入してください!!」
不満げの律の口を抑え、梓は苦笑いしながら応答した。
「ファンクラブに入会したいです。
よろしくお願いします。 田井中律さん、琴吹紬さん、中野梓さん」
世界は3人の名前を、すぱりと言い当てる。
「……あり、すげえなあ。ライブでしか自己紹介してないのに」
「世界は1発で相手の名前を覚えるようにしてますからね」
唖然とする律に、刹那が解説する。
「そう言えば、平沢唯さんに、秋山澪さんは?」
「も、もうフルネームで言わなくていいです……」梓は両手を突き出しながら、「2人ともトイレに行ってますよ」
「そうですか……。みんなで話をしたいところなんですけどねえ……」
世界は少し、目を遠くした。
「おーい、世界! 刹那! 何やってるー?」
「ファンクラブ入りなら、私たちも参加していいー?」
世界と刹那の後ろから、長身でボーイッシュな子と、ツインテールをイカリングのように留めた子も顔を出す。
「甘露寺さん!!」
ムギの興奮した声。
「いきなり4人確保か」
梓は、ほくほくしてつぶやく。
「ねえ七海、」世界は振り向いて、「彼氏と合流したんじゃなかったの?」
「それがさあ、」七海は悲しげな表情になり、「妹が一緒に来てさ、そっちのほうに行っちゃって、『今日は二人きりになれない、ごめん』だってえ……」
七海は明らかに、嗚咽している。
「まあまあ……」ムギが前に出てきて、「私がいますから。落ちこまないでくださいね。」
「いや、あんた女だろ……」
「だからいいじゃないですかあ……」
ムギの目は、不自然に輝いている。
「え、ちょっと……」
「待て待て待て待て!!」律が苦笑いしながら2人を抑え、「実はうちの学校には、稚児さんと呼ばれる風潮があってな。たまに友達以上の関係を持つ奴がいるんだよ。」
「ち、稚児……」
驚く榊野一同だが、
「あ、そう言えば聞いたことがあります」
「世界?」
世界だけが話を合わせる。
「よくあるんですよね、男子校や女子校は。同性でついつい仲が良すぎて、バレンタインやホワイトデーでお菓子交換までしちゃうという」
「お、わかってるじゃねえか、あんた」
「『あんた』じゃなくて、お願いですから世界って呼んでくださいよ、田井中さん」
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