第2部:学祭1日目
第7話『再会』
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いですよね……。何でみんな誤解するんだろ……世界といい、言葉といい、泰介といい……」
そういう関係でない、と言った時、唯の表情が陰ったことに、彼は気づかない。
「きっと多分、」唯は無理に微笑を作り、「男女の関係は皆興味を持つからだよ。みんな面白半分で当事者に聞いて、面白おかしく噂するからね」
「……考えてみれば、そうかもしれませんね。」
無理な微笑み、と分かっていても、誠には唯の微笑が、とてもきれいに見えた。
「それより、桂さんが大変なことになってるみたいね!! 急いだ方がいいよ!」
「わかってます!!」
誠は言って、唯と一緒に飛び出した。
唯が半歩ほど遅れて。
彼は走りながら、言葉のメールを読んでみる。
『今、お化け屋敷。
助けて!!』
自分以外にもう1人、別の人にメールが送られているのが、妙に気になった。
「いやー、よかったねえ!! オナベ&オカマバー!!」
榊野学園の廊下を歩きながら、純は憂に話しかける。
「刺激的だったねー」
朝こそ気が立っていたものの、純のマイペースぶりと、榊野の様々なアトラクションのおかげで、憂はすっかり明るい気分になっていた。
廊下は憂以外にも、様々な生徒がたむろして、ちょっと間を通るのに苦労する。
意外とせまい。
「次はどこいこっか?」
「そうだねえ……放送部のアイスクリーム屋なんて……あれ?」
目の前で、男女2人が人々をかき分けかき分け走ってゆく。
「伊藤君、お化け屋敷ってどこ?」
「1階の端っこの部屋です。そんなにかからないですよ」
そんな会話をしながら。
周りは不思議な表情。
女の横顔を見ると、それは紛れもなく見覚えのある顔。
「お姉……ちゃん……?」
憂は低い声で呟く。
「あれ、唯先輩じゃない?
わお、オトコ作ってたって噂、ホントだったんだね!!」純はパッと目を輝かせて、「ねえ憂、唯先輩たちがどこへ行くのか、見てみ……。」
純が言い出したころには、憂はもう姉を追って走り始めていた。
後ろ姿に黒い霧が出ていることを、純は悟った。
「憂……?」
「しょうがねえなあ……。梓、ムギ、呼び込んでくれ!」
「呼び込む?」
残った放課後ティータイムの3人は、相変わらずファン集めに奔走していた。
ただし律は、彼氏目的。
「『放課後ティータイム部長、田井中律! 田井中律です! 彼女にして絶対損はありません!! よろしくお願いします!!』みたいにさ。」
「立候補者みたいね……」
「それに放課後ティータイムではなく、律先輩の宣伝になってるじゃないですか……」
恒例のごとく、ムギと梓の突っ込み。
そのとき、「くすくすくす……」と、第3者の声。
皆はそちらを向く。2人の少女がいた。
1人は
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