第2部:学祭1日目
第7話『再会』
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から」
「違います! やめてください!!」
言葉は言い終わらないうちに、ベッドに倒される。
が……。
白い携帯を左手で握りしめ、とっさに入力し始めた。
「どうだ、ムギ、上の状況は?」
律が2階から戻ってきたムギに尋ねる。
「奇術部、押すな押すなの大盛況よ」
「ったく、こっちは閑古鳥か……」
律や唯が呼び込みをするものの、生徒たちは『放課後ティータイムファンクラブ』という文字を見向きもせずに通り過ぎる。
さわ子はファンクラブ会員を見つけると言って、上に上がったっきり戻っていない。
5人とも、白い席に座ったまま、退屈そうに宙を睨んでいた。
「やっぱり軽音部、人気ないのかな……」
翳を見せて呟く梓。
「ちょうどいいや、ちょっとトイレ行ってくるね」
澪は席から離れ、トイレへと向かう。
「これで30回目……」
「澪ちゃん、私も付き合うよ」
呆れる律を背に、唯は澪について行った。
用を足して、澪と唯は、黒ずんだ洗面所で手を洗う。
先に手洗いを終えた澪。
急にはっとなり、携帯を取り出す。どうやらメールらしい。
「? 桂……? ……え……!?」
澪の顔が、青ざめた。
「澪ちゃん?」
「唯、ちょっと悪い、先に律たちのところへ戻っててくれ!!」
澪は一気に駈け出した。
「よりにもよってお化け屋敷かよ……」とぼやきながら。
「澪ちゃん!?」
後を追いかけて女子トイレを出て、男子トイレを横切りかける。
ふと、妙な予感がして、ドアを開けた。
第六感というべきかもしれない。探し物を感づくような。
案の定、誠がいた。
トイレ入口へと走っているところ。
「!! 伊藤く――――ん!!」
「え? ひ、平沢さん!?」
唯は駈け出し、誠の体に飛びついた。
「ちょ、ちょっと平沢さん、ここ男子トイレ! 便器にぶつかる!」
トイレの床に尻もちをつきそうになりながら、誠は何とかバランスを取った。
幸い、誰もいない。
「ずっと、会いたかったんだよ。……伊藤君に」
唯は誠から腕を外し、微笑んで、ゆっくりと言った。
「それは……その……」
誠は、ちょっと自分の運を呪った。
今は言葉のことだけを考えたいときなのに……。
「それは、俺だって……」呟いてから、「ごめんなさい、平沢さん……。 その……今は……!」
「ひょっとして、桂さん?」
「え、どうして……?」誠は唖然として、「どうして言葉のことを?」
「前に会ったことがあったの。あの子桜ケ丘まで来て、伊藤君は自分と付き合ってるから、もうちょっかいださないでと言って」
「そうなんですか、言葉が……。
確かに、俺と平沢さんのことは、噂にもなってたけど、俺達はそういう関係ではな
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