第2部:学祭1日目
第7話『再会』
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で聴いた曲だ。
音楽はともかく、歌詞は聞いただけで体中がかゆくなるような詩。
「澪ちゃん……」
すぐ後ろの唯は、うっとりとした表情で聴いているが。
声のする方は、ベンチだ。
ベンチへと向かうと、歌声が突然やむ。
かすかに、あの時の視線を感じた。
誠と目があったのは、姫カットの前髪、長身の女子生徒。
「秋山さん……?」
「……伊藤だね」
澪ははっとなって頬を染めながらも、注意深く表情を消した。
「誠君!!」
澪の横から言葉が飛び出し、誠の首に抱きついた。
「言葉……大丈夫だったんだ……」
「はい……でも……うれしかったです……」
安らいだ表情の言葉。
その隣で、澪が呆れたような顔になり、
「唯……やっぱりこうなるのか……」
と呟く。
誠の背後で、唯は顔を赤らめてかしこまっていた。
「どうしてここにいるんですか!? もう誠君に近付かないでといったのに!!」
唯の肩を掴んで詰め寄る言葉に対し、
「桂!」
たしなめる澪。
「言葉、」誠は横から、「唯ちゃん、ずっと言葉のこと心配してたんだぜ」
「唯ちゃん?」
澪が耳ざとく突っ込む。
「あ……。ひ、平沢さん!」
ごまかしても、澪も言葉も、ためにならないほど多くを読み取ったようだ。
「誠君……」誠を向いた言葉の目は、疑念にみちている。「秋山さん、何とか平沢さんに言ってくれませんか!?」
「桂、私は唯の友達でもあるんだ」
澪は首を振った。
と、
「桂さん……良かったあ……」
唯は言葉に抱きつき、頭を言葉の胸に押し付ける。
「平沢さん?」
「よかったあ、心配したんだから……」
言葉の大きな胸に顔をうずめて、泣いている。
「平沢さん……」
唖然として、言葉は唯を見下ろした。
「ライバルなんだから、お互い無垢な状態で、きっちりと勝負したかったんだよ」
「「らいば……!!」」
澪と誠の声がハモる。
誠は不意に、唯の唇の感触を思い出し、後ろめたい思いになった。
スキンシップを許した揚句、いつの間にやら……。
自分の流されやすい性分を、呪った。
「伊藤」
澪が誠に、声をかけた。
「はい?」
次に澪は赤くなって、視線をそむけ、
「なんでもない……」
「秋山さん?」
「澪ちゃんは恥ずかしがり屋だから、」唯は澪の肩をたたき、「男の子とうまく話せないんだよ。ね、澪ちゃん」
「ち、違うっ!!」
「いや、ははは……」
誠は思わず笑ってしまった。
「秋山さん、無理しなくていいですから……」
律たちと世界たちは、お化け屋敷の前まで来ていた。
七海が『お化け屋敷が荒らされた』という知らせを聞いたためだ。
案の定、休憩室周辺の小道具が、すべて引き倒されている。
「うわっちゃ
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