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Cross Ballade
第2部:学祭1日目
第7話『再会』
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露寺さんのこと好きだから。甘露寺さんのためなら、何でもできるから……」
「そうかい……?」
 目をわずかに細めた七海。
 ふと、携帯の音が鳴る。
 刹那と梓は、2人を浮かない表情で見つめ……。


 律と世界は、2人きりになった。
「ま、優しくされて好きになるのはわかっけどよ、あんまりそいつにこだわることもねえんじゃねえか?」
 世界は、少し厳かな顔になった。
「たぶん田井中さんは、恋愛なんてしたことないからそんなふうに思えるんだと思います」
「……」
「クラスでも隣同士なんだけど、声をかけられるたびドキドキして……。
好きって言われたから、とてもよかった。」
「はあ……」
「えっちして、気持ちいいってこともあったし……」
「……生々しいからやめてくれ……。要は、確かに伊藤が、西園寺のことを好きって言ったんだよな」
「え、ええ……」
 うつむいたままで、世界は答える。
「何だ、伊藤も西園寺を好きって言ってるんじゃねえか」
「ええ……」
 律は頭をかきながら、顔を天井に向けて、
「だけどよ、澪の話によれば、元々伊藤の彼女は桂で、あんたが寝取った、というらしいのさ」
「それは……」
 ある意味では、真実である。
「細けえことはよくわかんねえし、澪は桂のこと、好きみてえだし、澪が桂に肩入れするのは構わないとは思ってる」律は携帯のメールを見ながら、「今も屋上で、桂と一緒にいるみたいだしな。
でもね、私は……」
「私は?」
「澪は私の幼馴染でさ、正直あの桂って奴には嫉妬してるのさ」
「嫉妬?」
「あいつが桂に妙に興味を持ってるってことは、前々からわかってた。だけどよ、相手がどこの馬の骨とも分からん奴っつーのは、幼馴染として面白くねえと思わねえかあ?
澪より美形なのはわかるが」
「……いや、私そういう趣味ないですし」
「ならいいや……。とにかく、澪を虜にした桂に関して、もそっと知りてえしよ。それにあんたにも、かばう人間が1人いねえとな。」
「……私のこと、かばってくれるんですか?」
「最初は干渉しないようにしようって思ってたんだけどな。
梓のせいで、干渉が避けられなくなっちまった。
まあ、それだけってわけじゃねえさ。西園寺と話すとなんか楽しいし」
 世界の表情が、急に明るくなる。思わず声をあげて、
「私も、田井中さんが本当に魅力的な人だなって! 面白い人だなって思ってます!!」
「……サンキュ。」
「でも、桂さん……うちの学校では浮いているから、桂さんに好意を持っている人が1人でもできるのは、いいことだと思いますよ。
それに田井中さんの友達……幼馴染とくれば」
「西園寺……」
「……ただ正直、秋山さんを味方につけて誠を奪おうというなら、私は……秋山さんも……」
 世界のこぶしに力が
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