第2部:学祭1日目
第7話『再会』
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刹那は、梓の目を覗き込んだ。
「……?」
「本当にそれで、すむと思う?」
「……たぶん、すまないとは思っているけど、それでも顔を合わせなければ、お互いに忘れていくだろうと思うのよ」
「せっかく仲良くなってるのになあ。田井中さんと、世界は」
「いや、もちろん西園寺はいい人だと思うよ。甘露寺や黒田だって。でも……」
刹那は、梓の言葉に直接答えず、別の質問を持ち出した。
「平沢さんは、伊藤のことどう思ってるの?」
「……。好きらしいですよ。『マコちゃん』なんて言ってましたし」
「そう……」刹那はため息を1つついて、「実は伊藤も、平沢さんのことを、少なからず意識し始めてるんだ」
「え……!?」
梓の顔から、血の気が引いて行った。
「実は私と七海と光で、平沢さんが近づかないように見張ってたんだけど、それから急に伊藤、笑顔がなくなってしまって……。少し前に、世界とけんかしたみたいだし」
「そうなの……」
「たぶん、平沢さんに近づけなくなったから、伊藤も欲求不満がたまっていた。そう私は思うんだ」
「……」
「たぶん、私達が干渉すべきことじゃないよ。伊藤や、平沢さんが決めることだと思う」
「そんな……」
「それに桂さんも、クラス中の女子から嫌われいじめられていて、誰も頼る人がいないんだ」
「……まあ、あのスタイルにはやっかむ人も多いだろうね」
「だからこの前私、『頼れる人間には頼ったほうがいい』と言ったんだ」
「それで?」
「秋山さんが桂さんに強い興味を示してるんだとすれば、ひょっとしたら、桂さんにとっても、秋山さんが
『唯一の頼れる人』
なのかもしれないんだよ。伊藤はどうもふらふらしてるし」
「え……」
「今更二人を裂こうだなんて、残酷なことができる!?」
梓は、言葉が出なくなってしまった。
「清浦……」
「ん?」
「私……私たち、どうなるのかな……」
うつむき加減になる梓に対し、刹那は
「どうなるも何も、なるようにしかならないんだろうけどね。
『人間万事西郷が馬』と思ったほうがいいよ」
「塞翁が馬です、それを言うなら」
「刹那と中野さん、どうしたのかしら……」
残った5人は、呆然としている。
「そう言えば、誠も遅いな……。どんだけ先のトイレに行ってんだか……」
と、世界。
「ま、でっけえ方なんじゃね」
「……あのね、りっちゃん。女の子の前で大とか小とかいうもんじゃないわよ」
諌めるムギ。
「桂の奴は、澤永が今頃『足止め』しているはずなんだけどな……」
「七海、あんまり手荒なことはやめた方がいいって、言ったじゃない……」
顎に手を当てて呟く七海に対し、今度は世界がたしなめる。
「それにしても、伊藤って奴は、」律も表情を曇らせ、「私も気になる。唯
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