暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
A's編 その想いを力に変えて
A's〜オリジナル 日常編
46話:2月14日 各々のバレンタイン
[7/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
線を外して、改めてチョコの調理に取りかかった。
しかし時々視線が置いてある袋へ向かってしまっていた。それに気づいたアリサは、少し頬を赤くした。

(あ〜、もう!はやてがあんな事言うから…変に意識しちゃうじゃない…!)

慌てて今の調理の方に意識を向けて、父親用のチョコ作りを続ける。

父親用のチョコを切り刻み終えると、早速袋にあるホワイトチョコを取り出した。
あまり意識せずに、意識せずに、と自分に言い聞かせるように呟き、先程と同じように刻んでいく。

「………」

それぞれ刻んだチョコを別々にボウルへ入れ、チョコを溶かす為電子レンジで温める。
それをじっと見つめながら、アリサは昔の事を思い返していた。

今思えば士やなのは達との出会いは、あまり良い物ではなかった。何せ喧嘩で始まった仲なのだから。
自分はすずかの大切なものを取って、それを見かけたなのはと喧嘩して…それを士が止めに入って……

それから三人との関係が始まって、なのはと士の繋がりでフェイトと合って、はやてとも出会って……

今まで四人だった学校生活も、フェイトが加わり、そして四月辺りにははやても学校にやってくる予定だ。

これからは皆が学校に集まって、一緒に授業を受けるんだ。皆が黒板に向かう中、アイツは腕の間に頭を突っ込んで……

そういえば、とアリサはある事に気づいた。

「士の奴…最近変に暗い表情をしていたような……」

窓際の席でいつもは熟睡している筈の士が、最近は寝もせずに窓の外を眺める事が多くなっていた。
それを後ろの方の席で見ていたアリサは、その時は何か違和感を感じていたが、その正体がわからないでいた。

「何かあったのかな…」

これでも一年生の頃からの仲。士から言わせれば“腐れ縁”という奴だ。アリサはそれだけ親しい相手がいつもと違う感じでいるのに、心配しないような薄情な人間ではない。

「…まぁチョコ上げたら、少しは喜んでくれるかな…」

そう呟くアリサの頬は、不覚にも綻びていた。
もし士にチョコを渡したら、どんな反応をしてくれるのか。すごい喜び方なんかするかも、などと脳内妄想をするアリサ。

「いや、ないないない」

だがそんな行動をする程、士はテンションが上がるとは思えない。
でもたまにはそういうのも……

「―――っあ、ちがっ…!?///」

瞬間、アリサの顔が爆発するかのように耳まで赤く染まった。

「うぅ……ぁぁ、もぅ…ぁぅ…」

と電子レンジの前で顔を覆い隠したまま座り込む。士の顔を想像して、ニヤついていたのが精神的にきたようだ。

そんなアリサへ、電子レンジのチーンという音が静かに鳴り響いた。


















[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ