ロック オブ サキュバス
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「・・・仕方ないわね」
これ以上口論をしても意味がないと悟ったのだろう。
呆れたような困ったような表情で溜息をつき、ティアはハッピーを抱え、シモンに寄り添うように座った。
「ホホウ。若いな、火竜。この世には生かしておけぬ悪がいる」
梟がそう言うと、ロケットが一気に噴射する。
「貴様も海の閃光もその1人。死ぬがいい」
そう言い、先ほどのアルカのようにクラウチングスタートの構えを取ると――――
「ジェットホーホホウ!」
ナツに向かって拳を構えた状態で、一気に飛んだ。
その拳はナツの腹に決まる。
「ナツ!」
「火力なら・・・」
ハッピーが叫び、ナツは梟の腕を掴む。
「負けてねぇぞ!」
そして力任せに――――
「オラァ!」
回転するように投げ飛ばした。
投げ飛ばされた梟は再びロケットを噴射する。
「!うおっ」
無防備だったナツの右足首を掴み、一気に飛翔する。
そのまま塔の廊下の天井近くまで飛び、ナツの足首を離した。
重力に倣ってナツは落ちていく。
床にナツが顔から直撃する―――――前に。
「大海抱花!」
床から水の花が咲いた。
その花は一瞬にして開き、落下するナツを綺麗にキャッチする。
そのままゆっくりと、ナツは足から着地した。
「ああもう!アンタを見ていると危なっかしくてヒヤヒヤするわ!」
「ティア!」
右人差し指と中指を揃えた状態でそう叫ぶと、ティアはナツに駆け寄る。
「下がってろといったけど、やっぱり放ってはおけないわ。言っておくけど、アンタじゃないわよ?放っておけないのは。だから、私も戦わせてもらう」
有無を言わさぬ。
その言葉が何よりもしっくりくる口調でそう言い放つと、宙を飛ぶ梟を睨みつける。
「ホホウ。なかなか面白い2人だ。これは久しくやりがいのある仕事だな。ホホ」
その様子を見ていたシモンは、震えながら口を開く。
「三羽鴉・・・噂以上だ・・・こんなのが3人もいるのか・・・」
梟の駒。着物を着た駒。ギターの駒。双子の駒。
塔の中で起こる戦いをチェスに見立てるジェラールは、梟の駒で城壁のような駒を倒した。
コォン、と、駒同士が当たる音が静寂の中に響く。
「情けねぇなシモン。ゲームは始まったばかりだぞ」
カタッ、と倒れた駒を見てそう呟く。
続いて梟の駒の前には、ドラゴンの駒と女王のような駒が立ち塞がった。
「次は梟VS・・・ナツ・ドラグニル&ティア=T=カトレーン。うーむ・・・ナツとティアにはここまで来てもらいてぇんだがな・・・少し分が悪いか・・・」
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