変態と紳士の境界線上 その三
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『ベインズ!』
一夏と篠ノ之の声が聞こえた気がした。
先行は自分が志願したこととはいえ、二人がもう少し早く来てくれれば……と思わずにはいられない。
やはり、ヒーローってヤツは遅れて来るもんなんだろうな。
ここで俺は意識を閉じることになった。
気がつけば、オレンジ色の空と、俺の顔を覗き込む、白いワンピースを着た十歳くらいの金髪ツインテールのロリ少女が見える。
だからと言って、とある物語の主人公のように、少女にいきなり抱きついた挙句、身体を触りまくるようなことはしない。
俺は紳士だからな。
紳士じゃなかったらするのかと問われれば、しないと断言できる。
俺にはそんな趣味は無いからだ。
耳に何かの音が聞こえてくる。
それは、砂浜に波が打ち寄せるような音。
俺が上半身を起こすと、名も知らぬ少女は飛び跳ねるようにして、後ろに一歩下がる。
「ここはどこなんだ? 俺は死んだのか?」
少女は俺の問いになにも答えず、俺がら遠ざかるように波打ち際を歩き始めた。
少しばかり歩くと、こちらに振り返り、俺をじっと見つめてくる。
「着いて来いって言ってるのか?」
少女は首をこくりと縦に傾けた。
俺は立ち上がると、服に着いた砂を払いのけ、少女の後を追う。
周りを見れば、夕暮れ時の砂浜って感じだ。
海から吹く風が頬を撫で気持ちいい。
その夕暮れ時の砂浜を少女はスキップでもしているかのように軽やかに歩く。
少し短めのツインテールは少女の動きに合わせ、ひょこひょこと上下に動いている。
少女の背中を追ってどのくらい歩いたのだろう。
気づかぬ内に太陽は水平線の彼方へと沈み、空には満点の星空と少しだけ欠けた月があった。
「お前、どこまで行くつもりなんだ?」
焦れた俺がそう尋ねると、少女はこちらに振り返る。
そして、ようやく声を発した。
「みんな、待っていますよ」
「だったら、早く皆のところに返してくれよ」
俺の言葉を聞いた少女は、
「ベインズさん。未成熟な女性の身体を舐め回すように見るなんて、変態さんですか?」
いきなりこんなことを言い出した。
おい、ちょっと待て。
今、目の前にいるちびっ子が聞き捨てならないことを言ったぞ。
「何でお前が、俺の名前を知っているのかは置いておくとして――」
「そうですか。普通、見ず知らずの人間が、自分の名前を知っているというのは、すごく疑問に感じるとわたしは思うのですが、ベインズさんにとっては問題にもなりませんか」
「人の話の腰を折るんじゃない。問題は、その後の部分だよ。いつ俺がお前を舐め回すように見たんだよ。勝手に人を変
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