変態と紳士の境界線上 その三
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のシールドエネルギーは三割を切っていた。
一夏たちの到着まで持つのか? 俺。
そう不安を覚えながら、機体の体勢を建て直し、スラスター全開で急制動をかける。
機体は何とか海上スレスレで踏み止まり、水煙を上げながら海上を滑るように移動。
こうしている間も、上空からはエネルギー弾が次々と降り注いできて、俺の周りに幾つもの水柱を作っている。
それを小刻みにジグザグ機動で回避しつつ、ビット兵器二つを切り離し『福音』を牽制。
量子化してある武器、セシリア機に装備されているライフルと同じスターライトマークVを呼び出し、構えた。
船籍不明船の位置を考えると、かなり距離は離れているが、あまり高度はとれないだろう。
ビーム兵器はガトリングガンより射程が長いからな、戦闘中じゃ船ばかりに気を配れない。
誤射の可能性すらある。
海上スレスレを移動しながら空中にいる『福音』を狙い、撃った。
『福音』は機体を右に振り、ビームはその横をすり抜ける。
俺は『福音』の機動を予測し二射目を放つ。
命中。
薄い幕がかかったように見えた。
絶対防御が発生したのだろう。
まぐれ当たりだろが、まぐれだろうがなんだろうが当たればいい。
バランスを崩している間に、もう一発くれてやった。
行けるかと思ったのもつかの間。
途端、『福音』の動きに変化が現れる。
これからが本番だと言わんばかりに早さが一段上がった。
「これでまだ、ファーストシフトなんだよな。それでこれかよ」
思わず愚痴ってしまう。
織斑先生に、
「足止めするのは構わんが、別にあれを倒してしまっても構わんのだろう」
なんて赤い弓兵のセリフを言わなくて正解だったな。
言っていたら完全に死亡フラグだった。
いや、言わなくても十分危ない気がするが。
ハイパーセンサーは『福音』の動きを追えるとしても、俺自身が着いていけていない。
そう言えば、こいつのエネルギー弾ってホーミングするのもあるんだよな。
今まで真っ直ぐしか飛んでこなかったエネルギー弾が、俺に向かって弧を描く。
何発か俺に命中し、もうシールドエネルギーは一割を切っている。
そろそろこの空域から退散したいところだが、一夏たち遅いなあ。
それから何度か攻撃の応酬をし合い、ついに俺のシールドエネルギーはゼロになる。
無数のエネルギー弾が俺にゆっくりと迫って来ているように感じた。
機体を急速反転、持てる全てのエネルギーを速度に変換していく。
不規則機動で回避を試みるが、いくつかエネルギー弾が直撃したようだ。
背後から物凄い熱と衝撃が襲ってくる。
『アーサー!』
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