暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
第五十四話〜人形と聖王〜
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な彼女の表情を見て、先ほどの変化のプロセスの中に催眠も混じっていたのかとライは考えた。

「それでは、楽しい楽しい殺し合いを堪能してください?」

 それだけ言い残し、クアットロは姿を消す。残されたのはライと聖王と呼ばれたヴィヴィオ。仮初ではあるが、父と娘の関係を築いていた2人。

「ヴィヴィオ、僕の事は解る?」

「貴方なんて――知らない!」

「ヴィヴィオ、僕は君にパパって呼ばれていたんだ」

「貴方なんか、ヴィヴィオのパパじゃない!ヴィヴィオのパパとママを返して!!」

「ヴィヴィオ……」

「気安く話しかけないでよ!偽物のくせに!関係ないくせに!!」

 彼女の言葉がライを精神的に傷つけていく。映されているディスプレイから、ライの方に何かを呼びかけている声が聞こえてくる。それを聞いて、今自分がどれだけ酷い顔をしているのだろうか?と益体もない事を考えるライ。

「そうか」

 一度俯き、ライは覚悟を決める。

「なら、『私』は狂王として、聖王に挑む」

 静かに宣言したライの表情に、感情を伺うことは既にできない。そして、ライの言葉に驚きの表情を浮かべた六課メンバーはライに静止の言葉を投げかけるが、ライはその一切を無視。

『マスター、いいのですか?』

「蒼月、誓いを忘れたのか?」

『……いえ、私は貴方に付いていきます。その誓いは変わりません』

 そして、ライはライトグリーンの翼を展開し、ヴィヴィオは虹のような七色の魔力光を発しながら、2人は交差する。
 ここに異世界の王同士の戦いが始まった。







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