第五十四話〜人形と聖王〜
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映される映像はなのはやフェイトが見ているものと同じものである。
「はぁ〜い、それではこれから父と娘の殺し合いを見てもらいたいとおもいまぁ〜す」
王座の傍にいたクアットロがいきなり口を開いたかと思えば、とんでもないことを口にしてくる。
その言葉に嫌悪感を抱きながらも、ライは言い返すこともせずただ黙っていた。
「と言ってもぉ〜、既にお兄様はそこそこ手持ちの魔力やカートリッジを消費していますから、苦戦は必死だと思いますけどぉ〜」
「……」
「まぁ、それでも私たちの兄ではあるのですから、無様には――」
「聞いてもいないことをベラベラと。戦うことが怖いのなら今すぐここから出て行け。目障りだ」
我慢の限界で声を上げる――ということではなく、本当に眼中にないのか、ライはクアットロに全く視線を向けずに感情のこもらない声でそう告げた。
言われたクアットロも、先程まで浮かべていた貼り付けたような笑顔が霧散し、無表情でライを見つめていた。
「恐れている?私が?貴方を?一体そんな考えの根拠がどこに――」
「戦場で虚栄心を見せるものは早死する」
論破することもなく、確定事項として彼女が見栄を張っていると主張するライにクアットロは切れた。
「そうですか――なら貴方を殺すことでその言葉を否定する!」
クアットロがそう叫ぶと同時に、手元のコンソールを操作する。するとこれまで大人しく座っていたヴィヴィオに急激な変化が訪れた。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
かつての自分がCの世界と繋がった時の様に苦しみだしたと思えば、今度はヴィヴィオの体が急速に変化していく。それは成長と言うにはあまりにも不自然で、魔法というにはあまりにも不可思議であるように体が大きくなっていく。
そして成人女性ぐらいにまで大きくなると、その身にバリアジャケットらしきものを纏い、ライと対峙する。
流石にこの変化にはライも驚き、目を見開いている。その彼の反応に満足したのか、クアットロがいやらしい笑みを浮かべ、ヴィヴィオに囁いた。
「さぁ、聖王様?あちらにいるのが、聖王様のパパとママを奪った不届きものです。パパとママを奪い返すためにも、あいつを倒しちゃってくださぁ〜い」
ヴィヴィオがそんな言葉に従うのか?と言う疑問がライの中に生まれたが、ヴィヴィオの表情を見てそんな疑問は吹き飛んだ。
ヴィヴィオの表情はライが元の世界で散々見てきた表情であった。恨み、辛み、妬み、悲しみ、憎しみ――およそ考えられるだけの負の感情を混ぜ込んだ瞳。それはかつてのエリア11での日本人のようであり、ゼロレクイエム終結間際の世界中の人間が持っていた表情でもある。
そん
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