第五十四話〜人形と聖王〜
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ってもらっていた。
そして2人がたどり着いたのは、これまでのゆりかご内の装飾と少し異なるデザインの部屋。これまで2人が進んでいたゆりかご内を一言で表すのであれば神殿である。だが、その区画は神殿というよりも古代の遺跡といった方がしっくりくるような場所であった。
「フェイトちゃん」
「大丈夫…………大丈夫だから」
隣に立つ戦友であり親友へ言葉をかけるなのは。声をかけられたフェイトは返事が返ってくる分まだ冷静であると言えるが、幼い頃からの親友のなのはには彼女がいつものような落ち着きを保てていない事をなんとなくではあるが察していた。
2人の視線の先には4人の人物がいる。1人は今回の騒動の主犯、ジェイル・スカリエッティ。そして残りの3人は彼の護衛の様に立つ戦闘機人、トーレ、セッテ、ディエチ。
3人の戦闘機人はなのはとフェイトと対峙するように向き合い、警戒している。だが、ジェイルだけは未だに2人の存在に気付いていない様に、手元のコンソールを操作している。
「操作を中断して投降しなさい!」
「……」
「っ!」
フェイトは自分の声を無視され、頭の中が沸騰するような熱を帯びる。だが、隣にいる心配そうな表情を浮かべるなのはの顔を見るといくらか冷静さを取り戻したのか、一旦深呼吸をする。
そして再度投降の呼びかけをしようとし始める彼女に、被せるようにジェイルは言葉を紡ぎ始めた。
「世界の安寧を求めた王は死を選び、王の理解者は王の生を望む。しかし、その世界には既に王の帰るべき場所も居場所も無い。そして王が行き着いたのは別の世界であった」
明確に紡がれるその言葉になのはとフェイトの2人は呆然とした。
聞き覚えや心当たりがあるなんてレベルではない。その物語を聞いて2人が思い浮かべることができるのは銀色の青年ただ1人。
2人が呆然としていると、その部屋の左右の壁に投影型ディスプレイが展開される。そこには六課のメンバーと戦闘機人との戦闘の中継映像。そしてライがある部屋に入る瞬間を映していた。
ゆりかご・聖王の間
部屋に入るとライの視界には2人の人物が入ってくる。片方は以前、自分を挑発してきたメガネの戦闘機人、クアットロ。
そして彼女が寄り添うようにして立っている、その部屋の玉座のような椅子に座らされているのは、ライにとっての目的であり、目標。
「迎えに来たよ。ヴィヴィオ」
「……ヒッ…ク……パ…パァ」
怖くて、不安で、心細くて、寂しかった彼女は、しゃくり上げながらも、確かにライをパパと呼ぶ。一先ず、ヴィヴィオの安全が確かめられた事にライは内心で安堵しながら、ライは一歩を踏み出そうとする。
だが、それを遮るように、その部屋にも投影型のディスプレイが開かれる。
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