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空を駆ける姫御子
閑話4 〜彼女達の日常
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キブリだよっ、悪魔の使いだよっ。魔法少女の敵なのっ」

 力説するなのはさん。明らかにおかしなことを言っているが、妙な迫力があった。なのはさんは追いかけてきた八神部隊長に首根っこを掴まれ、そのままずるずると引きずられていった。お説教の途中で逃げ出してきたらしい。

 今テーブルにいるのが、あたしとスバル。エリオとキャロ。そして、シグナム副隊長とヴィータ副隊長だ。それ以外はあたし達を遠巻きに見ている。そりゃ、こんな大きな蜘蛛がテーブルに鎮座していれば誰でも近寄りたくはない。アスナが蜘蛛の前に手のひらを出すと、腕を伝って肩へと移動した。

 蜘蛛が移動したのを確認するとアスナが徐に立ち上がる。嫌な予感でもしたのか、遠巻きに見ていたフェイトさんが後ずさりした。何の予備動作も無くフェイトさんへと駆けだしていくアスナ。可愛らしい悲鳴を残しながら、フェイトさんが全速力で逃げていく。フェイトさんは蜘蛛がダメらしい。もしかしたら虫全般がだめなのかも知れないけど。こうして六課にまた伝えられることになる珍事が一つ増えたわけだ。





 最後に蛇足。アシダカグモこと軍曹君はアスナの部屋へ居候を決め込む事にしたようだ。部屋の先住民が心配ではあったが、なぜか軍曹君は襲わない。不思議ではあるが、アスナだから仕方ない。大半がニートの蟻軍団に、地球から連れてきたアマガエル。諜報活動が得意なハエトリグモに、今度はゴキブリハンターのアシダカグモだ。ペットのラインナップとしては色々と間違っている気がするが、これもアスナだから仕方ない。そもそも部屋に食べ物などを出しっ放しにしなければゴキブリなど出ないし、出たとしてもちょいちょいと……あたしは部屋の隅にいた()()と目が合った瞬間に部屋を飛び出した。()に助けを請う為に。


──── え、雌なの?






 〜這い寄る影 了


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