閑話4 〜彼女達の日常
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舎へと戻っていった。視界の端には彼女が最近植えた向日葵が楽しげに揺れていた。
──── AM 11:48
荒い息を隠そうともせず、高町なのはは壁に手をつく。逃げられた。ここまで追い詰めたにも拘わらず、だ。彼女は思う。わたしはまた──── 守れないのか。ごくりと唾を飲み込むと、まるでアルコールのように喉を焼いた。何故か、高町なのはの脳裏に仲間達の姿が浮かぶ。だが、彼女はそれを振り払うかのように頭を振った。戦いの爪痕が生々しいそこを暫し見つめ。高町なのはは、重い体を引きずるようにして戦場を後にした。
──── PM 01:16
「なぁ、フェイトちゃん。なのはちゃんは何しとるんや。いや、ちゃうな」
──── 何と闘っとるんや
フェイトの肩が揺れる。明らかにいつもとは様子が違う高町なのはに、彼女が気づかない筈はなかったのだ。
「朝から上の空やし、昼食も取ってへんやろ? 一体……何をやっとるんや」
「……ごめん。はやて。私の口からは言えない。だけど、きっと。きっと大丈夫だから」
八神はやては食堂の天井を見上げる。高町なのはは筋金入りの頑固者だ。あの『事故』以来、それは改善されたと思っていたが、どうやら違うらしい。八神はやてが天井の染みを数えるという不毛な作業を終え、フェイトへと口を開きかけた時。食堂の入り口から小さな影が飛び込んできた。
「エリオ、どうしたの?」
エリオは乱れた息を整えるのも忘れ。慌てたように彼女たちへ伝える。悲しき『事実』を。
「なのはさんが倒れて……医務室に運ばれましたっ」
──── PM 01:34
スバルが昼食を終えて中庭へ顔を出すと、アスナを見かけた。ティアナから聞いてはいたが、本当に農夫のようだった。
「あれ? アスナ帰ってたんだ。ティアから聞いたよー。見せて見せて、みみず」
「……もう土のなかです」
「そっかぁ、残念。……ティアどうしたの?」
「あんな袋一杯、捕ってこなくても良いじゃない。……夢に出そうだわ」
帰ってきたアスナは、いの一番に捕ってきたミミズをティアナへと見せたのだが、どうやらお気きに召さなかったらしい。透明なビニール袋一杯に蠢くその姿は、嫌いな人にはトラウマものだろう。
「……ちょっと、夢中になった。それと、こ」
何かを言いかけた桐生アスナを遮ったのは、隊舎から中庭へと飛び出してきたフェイト・T・ハラオウンだった。その尋常では無いフェイトの樣子を見て、彼女達の顔に緊張が走る。フェイトは彼女たちのテーブルへ走り寄ると、三人の顔を今にも泣きそうな表情で見つめた。そして。
「ティアナ、スバル、アスナ。お願い」
───
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