閑話4 〜彼女達の日常
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開きかけた八神部隊長が我慢したので、あたしも沈黙を守ることにする。フェイトさんは取り出した饅頭をアスナの目の前に置いた。
「蛙さんのお名前、決めたんですか?」
キャロが一連のやり取りなど最初からなかったようにアスナへと質問した。
「……まだ考え中」
どうせ妙な名前に決まってる。アスナのネーミングセンスは、スバルとは違うベクトルで変な事を知っている。頼んでもいないのに地球へ連れてこられた為に恐らく珍妙な名前になってしまうであろう不幸な蛙に心の中で手を合わせていると、アスナが目の前に置かれた饅頭を口の中へ放り込んだ。なのはさんが俯いている。肩が震えているところを見ると笑うのを我慢しているようだ。
「何で食べちゃうの?」
フェイトさんの疑問は尤もだ。フェイトさんにとってはだけど。
「……こわいから食べた」
「そうなんだ。……え?」
フェイトさんの隣に座っていたなのはさんが、鼻から漏れたような笑い声を上げる。我慢できなかったようだった。フェイトさんの頭に咲いているお花は今日も元気いっぱいだ。
「なのは? どうしたの?」
「な、なんでもないよ? 笑ってないよ?」
我関せずとチーズケーキをつついていた八神部隊長がとうとう口を開いた。
「……フェイトちゃん、『落語』って知っとる?」
「ラクゴ? 聞いた事はあるけど……」
「フェイトちゃん、暫く地球におったんやけどなぁ。フェイトちゃんが地球におった時に憶えた日本の文化ってなんや」
「え? えっと……ポケモン?」
「何言うとるんや、この子。アスナちゃんはよう知っとったなぁ」
この人はフェイトさんやなのはさんには割と容赦が無い。あたし達のような関係らしい。キャロとエリオがフェイトさんの頭を撫でて慰めていた。
「……おにいちゃんにおしえてもらった。うたまるは妖怪」
また、トンチキな事を言い出した。八神部隊長は先ほどと同じように何かを言いかけたが、やはり口を噤んだ。妖怪で嫌なことを思い出した。ミッドチルダにはない概念である『妖怪』なるものをあたし達が知らないとみるや、アスナは懇々と三時間にも渡って妖怪講座を開いてくれた。お陰であたしとスバルはミッドチルダでも三本の指に入る妖怪博士だ。全く嬉しくない。因みにその三本はアスナとスバルとあたしだ。
「結局、アスナは何が怖いの?」
フェイトさんはアスナの弱みを握って何がしたいんだろうか。アスナは少しだけ考えて口を開いた。
「……働きアリの大半は……働いていない。こわい」
「え。そうなの? 働き蟻なのに? 働き蟻の大半がニートだったなんて……怖いね、エリオ」
「え? え、えっと……はい、こわい? ですね」
無茶ぶりされたエ
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