閑話4 〜彼女達の日常
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。呆然としていたあたしに強烈な睡魔が襲ってくる。抗う気も起きないほどの眠気に、あたしはあっさりと意識を落とした。消える寸前にアスナが言った言葉を思い出しながら。
……酷い夢を見た。最悪だ。あたしが目を覚ましたのは見慣れた自分の部屋だった。ご丁寧にもきちんとベッドで寝ている。あたしを起こしに来たスバルへ昨日のことを聞いてみたが、何も憶えていなかった。いや、正確にはあたしの知らない日常だった。更には頭の心配までされた上に、今日は休めと言われる始末だ。ホスピスの患者を見るようなスバルの視線が腹立たしかったので一発殴った。
屋外訓練場で雲を数えていたアスナへ声を掛ける。アスナは何も答えなかった。アスナが何も答えない時は興味が無い時か──── いや、いい。どうせ夢なのだから。
「今日も疲れたね、ティア」
「そうね……アスナ、帰るわよ。プリン奢ってあげるわ」
「どうしちゃったの、ティア。……やっぱりどこかおかしいんじゃ」
酷い言いぐさだ。別におかしな事じゃない。本人たっての願いなのだから、少しくらい優しくしてやってもいいだろう。
「さ、早く行くわよ」
──── 未来のわたしをおねがい
〜胡蝶の夢 了
「アスナのこわいモノって何?」
地球での派遣任務を終えた二日後。アスナが地球から連れ帰ってきた蛙の件で、シグナム副隊長からがっつりと説教を食らい、八神部隊長がこの件の落としどころに頭を悩ませていた頃。あたし達は中庭のテラスでお茶をしていた。今日は普段よりも人が多く、あたし達以外に八神部隊長となのはさん、フェイトさん。ちびっ子二名にシグナム副隊長がいた。
六課男性陣から「人間大砲(人を吹飛ばすと言う意味で)」と言う不名誉なあだ名を付けられたアスナは、つい先ほどの訓練時に『エリオロケット』なる技を披露し、フェイトさんから小一時間ほど説教を食らった。どんな技かは名前から察して欲しい。当の本人は、何処吹く風で頭に蛙を乗せたままキャラメルティーを飲んでいた。その話の流れかどうなのかはわからないが、唐突にフェイトさんから発せられた言葉が冒頭となる。
問いかけられたアスナは小首をかしげて暫く考えていたが、ゆるりとフェイトさんに顔を向けると、訳のわからない事を言い出した。
「……まんじゅうこわい」
今この場にいる人間で、アスナの発言にツッコミと言う名のボールを投げ込もうなどと考える人間は誰もいない。それらは大抵の場合、全力で打ち返されるのがわかっていたし、関係の無い観客にまで被弾する可能性があるからだ。……一人を除いては。
「そうなんだ。……ここにちょうど、お饅頭が」
何で持っているんだとも思ったが、一瞬口を
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