第五十二話 良い思い出が無かったな
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に与えるほど優しくは無い。私がお前に与えるのは絶望と屈辱だ、己を呪い私を呪い、そしてこの世に生まれてきた事を後悔させてやろう。お前は泣きながら私に死を請い願う事になる」
エルフリーデが微かに怯えを見せた。
「内務尚書、この女をオーディンの売春宿に叩き込みなさい。もっとも劣悪な売春宿にです」
皆がギョッとしたような表情で俺を見た。そしてエルフリーデが“卑怯者”、“人でなし”、“殺せ、殺しなさい”と怯えた表情で喚いた。もう遅い……。
「エルフリーデ、平民達に貴族の女というものがどういうものか教えてきなさい。内務尚書、連れて行きなさい」
俺の言葉にエルフリーデが“話すから止めて”と言って人に名前を言い出したが“明日聞く”と言って追い出した。馬鹿が、しっかり働いてこい。少しは根性も入れ替わるだろう。
ラインハルトに連絡するか……、気が重いが俺の役目だろうな。どうせまた俺を罵りだすだろう、俺の所為で死んだ、疫病神だと言うに違いない。その通りだ、アンネローゼもリューネブルクも俺の所為で死んだ、俺は疫病神だ、碌でもない現実だが認めざるを得ない。
葬儀は後にしなければならん、フェザーンがこの一件に絡んでいる可能性が有る以上ラインハルトはフェザーンから動かせない、不満を持つだろうが我慢してもらわなければ……。暫くの間は遺体は内務省で冷凍保存しておく必要が有るだろう。寒いだろうがアンネローゼにも我慢して貰おう。
ヴァレリーとヒルダが俺を非難するような目で見ていた。文句あんのか? 俺だって好きでやってるんじゃないぞ! 全く何も分かってないんだな、次に狙われるのはお前達、裏切り者の宰相秘書官と亡命者の副官になる可能性は高いんだ。それを防がないと……。ケスラーに連絡しなければ、警護を頼まないといかん。目の前の二人の他にシュテルンビルト、ノルトリヒトの両子爵家、ミッターマイヤー、ケンプ、アイゼナッハ、ワーレン達の家族……。
いや文官達にも必要か、今あいつらを失うのは痛い、改革が頓挫しかねない。憲兵隊だけじゃ負担が大きいな、武官は憲兵隊、文官は内務省が警備するようにしよう。先にケスラーに連絡だな、その次にオスマイヤー、ラインハルトは最後だ。嫌な仕事はどうしても後回しになるな……。
帝国暦 489年 4月 5日 オーディン ヴァレンシュタイン元帥府 ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
エルフリーデ・フォン・コールラウシュが元帥府に現れた。二日前の意気軒昂とした様子は微塵も無い、両腕を内務省の捜査官に押さえられおどおどと怯えた様子で目を伏せている。余程に酷い目に有ったらしい。見るに堪えない、私だけでは無い、フィッツシモンズ准将も彼女からは眼を背けがちだ。オスマイヤー内務尚書、ケスラー憲兵総監は表情が硬い。宰相閣下だ
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