話数その5 食べられない
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うに静まり返り、晋がよみがえる予兆など微塵も感じなくなった。
『は……ははははははははぁ!! やった、やったぞぉ! そうだ何故最初からこうしなかったんだ!? ははっ……」
化け物は安堵の表情と共に、心底可笑しいといった感じの嗤い声を上げる。
『ははははは! 人間如きがこのバイサーに―――』
そして、意気揚々と言葉を紡ごうとした化け物の―――
『かなバゴアガアアァァ!!?』
腹が突如として大爆発を起こし、化け物の体中から血が噴き出す。
『ゴボッ……カハッ……。……!?』
もしかして―――と、自身の腹を見る。が、穴は開いているモノの、その中に晋の肉片など残っておらず、あの大爆発は最後の悪あがきだった事がうかがえた。化け物はほっと、表情を和らげる。
『よ、かった―――ワタシの勝利は……揺るがない』
「……まだ勝っても……ないのにか?」
途端、化け物の表情が強張る。今一番聞きたく無い声、もう二度と聞きたくない声、それが化け物の後ろから聞こえてくる。振り向くとそこには―――
「……よぉ」
ダルそうな顔で手を上げる―――食われ、悪あがきで木端微塵になった筈の……“晋”の姿があった。
『―――――――――!!!???』
もう叫び声にすらなっていない悲鳴を上げながら、化け物は後ずさる。そんな化け物へ、晋は速度を速める事も遅くすることも無く歩きよっていく。
「……“こっち”も練習しといたほうがいいか? ……なぁ、如何思う?」
『イヒィッ―――!』
場の空気を呼んでいない晋の発言に、しかし化け物は怯えて後ずさることしかできない。
「あ〜……おい、まだ“306”だ。……確りしろ、化けもん」
『う――アアアアアアアァァァァァ!!』
「……痛て」
晋の上半身左半分を斬り飛ばすと同時に、化け物は脱兎のごとく逃げだしていく。逃走進路上にあった扉を吹き飛ばし、化け物は盛大に扱けながら必死で逃げて行く。
「……よっ」
そんな化け物を追うべく、晋は自分の体に“剣を突き刺して”走り始めた。
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『嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、もう嫌だぁァァァ!!?』
飛び出した化け物の前に映ったのは、真っ暗で先の言えない林と、赤い髪の女を中心に立っている学生達だった。 そして、彼女達が状況を理解するより早く、晋は化け物に追いついた。
「あのなぁ……まだ“350”もいってないんだぜ? ……それによ、上半身は女で下半身が訳分からん化け物のお前が、こんな人間如き怖がる必要ないだろ? 大体、勝負ふっ掛けてきたのはお前
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