話数その5 食べられない
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
事の発端は数時間前に遡る。
晋は暇で暇でしかたなかったうえ、しかも今日はどこかで入学祝いのパーティーでもやっているのか騒がしく、五月蠅いのが好きではない晋にとっては地獄であった。その為、騒いでいる者達が鎮まるまでどこか静かな場所に行こうと決め、住宅街から離れた場所へと足を進めていた。
(確か……外れに廃工場があったな……そこなら流石に誰も居ないだろ)
いくら静かな場所で一人になりたいからといって、廃工場まで行く人は物凄く少数であろう……やはりこの男は何処かずれている気がする。
そして歩く事数十分。
「お〜……何か中二病の奴が喜びそうな壊れ具合と雰囲気だな……」
ある意味で失礼な事を言いながら、まだ外観はちゃんとしている扉へと手をかけ、軽く開いて中へと入る。
(……それじゃ、しばらくゆっくりさせてもらいますかねぇ……)
欠伸をしながら、晋は適当な場所に寝っ転がろうとする。すると――――
『なんだぁ? 不味そうな匂いがするぞ? 何なんだこの不愉快なにおいはぁ?』
「あ?」
明らかに人間ではない、声帯で音を震わして出しているかも疑わしい声が暗闇から聞こえ、晋は鬱陶しそうな表情でその方向を見やる。
『まあいいか……腹の足しにはなるからなぁ……』
そこに居たのは、やはりと言うべきか人間ではなかった。 上半身は人間の女性で、位置関係と服を着ていない全裸状態の為か、唯の見せたがりの女性に見えなくもない。しかし、下側の……言ってしまえば何類なのかも分からない四足の胴体が、こいつが人では無い事を教えていた。
「……」
『んん〜〜? 怖くて声が出ないのかぁ? ギヒヒヒッ!!』
そう言って嗤う化け物だが、晋の顔は(…またかよ……)と言った感じで、一ミリも怯えている様子などうかがえない。
『それじゃぁ……』
「お」
『頂きま〜すぅ』
化け物は、寝転がったままの晋を握り、口へ運んでいく。と、化け物の口に晋が入りそうになったその途端―――
突如として、晋の体が大爆発を起こした。俗に言う“自爆”である。
『ガブア!!?』
化け物にとっては予想もつかない事だったらしく、口と手を押さえてうずくまる。眼だけで前方を見渡すと、そこにはバラバラの肉塊と化した晋の姿があった。
『まぁいい。どの道食う事に変わりは―――』
「……食われたい〜って願望がある人間が何処に……いや、居るかも知れんか?……」
突如として聞こえた声に、化け物は驚きで目を見開く。そして、当たりを見渡して声の主を探そうとして……途轍もなくおぞましい光景を目撃した。
「……まーた喋っ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ