第二部 文化祭
Suguha's episode アリガト
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台もあるのよ、1台あたしに頂戴!』
『……平均の求め方はすべての和÷足した個数だから……』
『いいなあー、あたし1台も持ってないからなあー』
『……AさんとBさんとCさんで、人数は3人だから……』
『お兄ちゃん、3台も置いて何に使ってるの?』
『……70に3を掛ければ、答えが出るだろ』
『あっ、ごめん。きいてなかった』
『だろうな。出てけ』
『あっ、お兄ちゃ……』
俺は直葉を部屋から追い出し、またまた口をきかなくなった。
「……あんなこと、こんなこと、あったでしょ?」
「あの頃は、まだ子供だったし! もう子供じゃないもん」
「スグ……」
「え?」
「お前はまだ子供だ」
「お兄ちゃんのバカ!!」
いつもならここで、「俺ってどんだけバカだと思われてるんだよ!」とか言っただろうけど、今回ばかりは違った。
「スグに言われちゃ終わりだな」
「……なんですって?」
「………………………ごめんっ、今の取り消し! 取り消すから抜刀するな!! て、ていうかさ……俺のことバカだとか言うんだったら、俺に勉強教わろうとなんてするなよな……や、やっぱさっきの発言も取り消す! やめろスグ、いや直葉様、剣を収めて! お助け━━っ」
──てなわけで30分後。
俺は図書室にて、直葉に勉強を教えることになった。直葉は俺から最大限の距離をとり、俺と同じ横長机で黙々と問題を解いている。
ああ、暇だなあ。そう思った俺が、鞄からPSPを━━校則なんて知ったことか━━取り出そうとしたその時。
「お兄ちゃん」
未だご機嫌ナナメな妹様から、ここに来て初めてのお声がかかった。俺をジトっと横目で見ている。
「な、なんでしょう直葉……様」
「なんで敬語なのよ。……ここ。解んない。教えて」
どうした直葉。お前はもっとさぁ、名前通り素直で、真っ直ぐだったはずだろ━━なのになんで普通の生意気な女子中学生みたいになってるんだよ。
……なんて言えるはずもなく。
俺は少しだけ直葉に近寄り、こちらへ押しやるように片手で近づけられたプリントを覗き込んだ。
「はいはい……ゲッ、証明問題!? しかもたいして難しくないのにややこしいっていう、滅茶苦茶メンドクサイやつじゃないか……うぐ、えっと、これはな、中点連結定理を……」
「ねえ」
「はい?」
「遠すぎ。もうちょっと近くに来てくれないと困るんだけど」
なぁ、俺、言っちゃってもいいよね?
━━お前がわざわざ遠くに座ったんだろ!
……と言いたいところだが、それをすると俺の命が危ないので、ここは大人しく直葉に従っておこう。
俺は妹の真横に椅子ごと移動し、説明を再開した。
「……えっと、これはな……中点連結定理を使うんだよ。ほら、
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