暁 〜小説投稿サイト〜
私立アインクラッド学園
第二部 文化祭
Suguha's episode アリガト
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「お兄ちゃん……どーしよ……」

 愛する妹・直葉が泣きはらしたような顔で言ったので、俺はとりあえず返事をした。

「知らん」
「話くらい聴いてよ!」
「ぐふっ……スグ、人間をサンドバック扱いするのは、校則で……いや法律で禁じられてるんだぞ」
「妹の話をちゃんと聴いてあげなかった罪に対しての刑よ」
「……で、話って?」

 直葉はようやく納得したよう━━と思いきや、何故か猛然と俺に殴りかかった。俺は右へ横移動し、今度こそ直葉パンチを避ける。

「俺悪くないよね?」

 一応確認しておく。すると直葉は眼の端に涙を溜め、「うわーん」と叫びながら突然床を殴り出した。怖い怖い。

「……直葉さん?」
「お兄ちゃん……あのね……あたし、あたし……」
「中間テストで赤点でもとった?」
「……」
「……え、図星?」
「………」
「……マジ?」

 直葉はどこの兄に似たのか、毎日の勉強が苦手なタイプだ。俺はテスト1日前に死ぬ気で勉強して終わったら全部忘れるって感じなのだが━━妹はその限りではないらしい。直葉の口から、いつになく弱々しい声が洩れる。

「勉強、しようと思ったんだけど……どうしても、気が散っちゃって。勉強しないままテストに挑んだら、数学で37点とっちゃった……」
「仕方ないね」

 ちなみに俺は数学98点だった。あとは現代文が89、地理が94……。ちなみにアスナは、安定の、というか貫禄の全教科満点だ。天才頭脳、どうか俺に分けてください。

「お兄ちゃんも、勉強嫌いなんでしょ? なんで点数良いのよ」
「いや、別に良くないぞ。学年平均65点だった英語で97だったからな」
「それのどこが悪いのよ!!」
「アスナは100点だぞ」
「アスナさんはアスナさんでしょ。……お兄ちゃん、勉強……教えてよ」

 滅多にない妹のおねだり。しかし俺は……。

「ムリ」
「即答!?」
「無茶」
「えっ……」
「無謀」
「なにそれ、ヒドい」
「いつのことだか、思い出してごらん……」

 俺や直葉がまだ小学生だった頃。俺は既に直葉から距離を置いていて、口をきくことはほとんどなかった。しかしある日、直葉が突然俺の部屋に入ってきて、言ったのだ。

『……お兄ちゃん、宿題……難しいから、教えてよ』

 もしこの時冷静だったら、俺は何らかの形で言い訳をして、逃げていただろう。だがあまりに突然の出来事だったので、俺は咄嗟にイエスの返事をしてしまっていた。

『……ちょっと見せてみ。えっと、AさんとBさんとCさんのテストの平均が70点だった時、3人の総合点はいくつでしょう……か。……スグ、これ本気で解らないのか?』
『うん……あっ、これってお兄ちゃんのPC? ずるーい! 自分で買ったの? なんで3
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