第一章 平凡な日常
44、ジッリョネロ
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てオレは、γに連れられて城の中へと入っていった。
中がどうなのかと聞かれたら、まぁあれだ。
城だな。
それ以外に何言えってんだよ。
しばらく歩くと、とある一室に案内された。
「ここで少し待ってろ。ボスを呼んでくる」
そう言うとγは部屋を出た。
ふと、突然の眠気に襲われた。
時差ボケのせいだろうか。
オレの意識が微睡みの中に落ちようとしていたときだった。
「かなねぇ!」
「うおっ!?」
久しぶりの声と小さな衝撃。
一気に現実に引き戻されたオレが見たのは、コスモの笑顔だった。
「あなたが、霜月要さんね」
優しく柔らかい女性の声。
入り口のところに一人の女性が立っていた。
コスモと同じ髪の色、コスモと同じ目の下の花模様。
「初めまして、私はアリア。ここジッリョネロファミリーのボスであり、コスモの母です」
「あ、どうも」
立ち上がって会釈する。
アリアさんはテーブルを挟んでオレの向かい側に座った。
コスモはオレの隣にいる。
γが持ってきた紅茶を一口飲む。
先に口を開いたのはアリアさんだった。
「まずは、お礼を言わなくちゃね。γやコスモから話を聞きました。あなたはコスモの命の恩人だわ」
「いえ、別に、オレは当然のことを」
「当然のことを当然にできる人は少ないわ。イタリアは治安が悪くなるばかりで、日本でも犯罪が増えていると聞くわ。見て見ぬふりをする人だっている」
オレの脳内に、コスモを助けたときのことが蘇った。
口々に言うだけで、誰一人動かない大人たち。
「オレは、そういう偽善が大嫌いです」
するとアリアさんはふわりと笑った。
「コスモから日本での生活を聞きました。何不自由なくしてくれたみたいね。きっと、この子のワガママに振り回されたんじゃないかしら」
「いえ、大丈夫ですよ。オレも楽しかったですから」
ふてくされているコスモの頭を撫でる。
「昔から好奇心旺盛な子でね、世話を任せていたγをすごく振り回してたの。今回の日本旅行もコスモが行きたいって言うから行かせたのよ」
「そうなんですか」
オレは、隣で紅茶に砂糖をたっぷり入れているコスモを見た。
て言うかオイ、砂糖何個入れるつもりだ!?
「もしあなたさえよければ、また遊びに来てくれないかしら? あ、でも親御さんがなんて言うかしらね」
「大丈夫ですよ。親なんていませんから」
「え?」
できるだけ、明るく言ったつもりだった。
それができていないから、アリアさんの表情から笑顔が消えたんだ。
「殺されたんです。強盗殺人でした。オレが、五歳の時に」
脳裏にあ
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