第127話
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を構える。
自分が開けた穴の先から男がゆっくりと歩いてきた。
「ほう、あれを受けてその程度の傷で済んだのか。
普通なら頭が吹き飛んでいるぞ。
となると、無意識に防御したのか?」
男はぶつぶつ、と独り言を呟く。
それを見ても麻生は一瞬の油断も出来ないでいた。
(こいつ、強い。
あの刀野郎くらいの強さを持っているぞ。)
「ガマリエル」を強く握りしめる麻生。
「来ないのなら、こっちから行くぞ。」
その言葉と同時に風が吹き荒れる。
(鎌鼬!?)
「ガマリエル」の盾の部分を前に出し、防御する。
その直後、風の刃が麻生に襲い掛かる。
「ガマリエル」のおかげで致命傷はないが、所々に傷を負う。
もちろん、治癒はできない。
加えて、男はその場を一歩も動いていない。
(時間をかけるだけこちらが不利。
なら・・・)
「ガマリエル」を前に構え、男に向かって走り出す。
男の周りに風が吹き荒れると、風の刃が麻生に襲い掛かる。
「リスト・ピッツィカート!」
そう告げると、「ガマリエル」はそれに応える。
盾が光を纏い、幾つもの風の刃を防いでいく。
男に近づけば、近づくほど、刃の勢いと数は増えていく。
それに比例して、麻生の傷もどんどん増えていく。
しかし、確実に麻生は男に近づいていた。
そして、距離が一メートルを切った所で麻生は防御を捨て、「ガマリエル」を構える。
風の刃が麻生の身体をどんどん斬り裂いていくが、それに耐え、麻生は叫ぶ。
「コード・イクトス!!」
「ガマリエル」全体が光に包まれ、それを男に向かって突き出す。
風の盾を突き破り、男に完璧な一撃が入る。
それを受けた男はそのまま後ろに吹き飛び、地面に転がる。
「はぁ・・はぁ・・・」
全身から血を流しながら、麻生は片膝をつく。
男がまだ油断している隙に勝負を決めるつもりだったのだ。
だから、あのような捨て身の攻撃を繰り出した。
(手加減はしたが、軽傷では済まないな。
とりあえず、傷を治療して拘束・・・)
今後どうするかを考えながら、倒れている男に視線を向けた時だった。
男は立っていた。
それも傷も、血の跡も何もない。
その光景に麻生は絶句する。
「もしかして、あれが全力な訳ないよな?」
その言葉が麻生にとって絶望に等しい言葉だった。
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