第127話
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後ろから麻生に肩を掴まれ、止められる。
「離せ、恭介!」
「駄目だ、不用意に近づけば死ぬぞ。」
「なっ!?」
麻生は感じ取っていた。
あの男から流れ出る異様な雰囲気を。
身体に纏わりつき、本能が警報を鳴らしている。
あれは自分とは別の存在だ。
でなければ、これほど悪寒を感じる事はない。
この感じは初めてではない。
前に出会ったスーツの男と刀を持った男と同じ感じだ。
だからこそ、麻生はあの男の発言を聞いても、不用意に攻撃を仕掛ける事はできなかったのだ。
「当麻、お前は下がってろ。
今のお前じゃあ相手にならない。」
無理矢理上条を後ろに下げると、麻生は歩いて男に近づいていく。
左手に持っている「ガマリエル」を調整しつつ、五メートルくらい距離を開ける。
「俺の存在を肌で感じ取っていても、戦おうとするか。
案外、命知らずだな。」
「普通なら面倒くさいから尻尾を巻いて逃げるんだが。」
「ガマリエル」のアンカーを男に向けて、麻生は言った。
「お前があの二人を吸血鬼に変えたって言うのなら、話は別だ。
お前をぶん殴らないと気が済まないんだ。」
表情はさほど変わっていないが、親しい者なら分かった筈だ。
麻生が今までにないほどに怒っている事に。
「実力ってのは実際に肌で体験してないと分からない。
いいぜ、相手になってやる。」
麻生は五メートルの距離を一気に詰め、「ガマリエル」のアンカーを男に向かって突き出す。
男はそれを紙一重でかわす。
だが、それを分かっていたのか右手で男の腹を殴りにかかる。
能力の加護もあり、吸血鬼を吹き飛ばした拳だ。
普通の人間が喰らったらひとたまりもない。
(こいつは普通の人間とは違う。
遠慮なくいかせてもらう。)
麻生の拳が男の腹に入りそうになるが、当たる直前で麻生の拳が何かに遮られ、止められてしまう。
何がどうなっているのか分からない麻生は、拳の先に視線を送る。
拳の先には風が集まっており、それが盾になって麻生の拳を防いでいたのだ。
その一瞬の間に、男は人差し指を麻生の眉間に軽く突く。
軽く突いた瞬間、そこから暴風が吹き荒れ、麻生の身体は後ろに吹き飛ばされてしまう。
建物の壁にぶつかるが、その建物を貫き、その先の通りまで吹き飛びようやく止まる。
「くっ!・・・」
歯を食いしばり、能力で身体の傷を治していく。
しかし、眉間に受けた暴風の傷は治療する事ができない。
(この風の感じ。
あのラファルとかいう男の風の魔術と一緒だ。
威力は段違いだが。)
さっきの風で額に傷ができ、血がドンドン流れていく。
しかし、麻生は気にすることなく、「ガマリエル」
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