メイドと少年と大佐と仲間達
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た。
そんな政治背景があったにも関わらず継続されているのは、ユリアンの為なんて分かるはずも無く。
対面上は、スポンサーであるアパチャー・サイエンス社の本格的に出回ってきたリトルメイドシリーズ『瀟洒』のお披露目イベントという恣意で本意を隠している。
なお、この手の政治手法を人形師はとても良く好んだ。
「あいにく私は賢者でもなく、清貧に甘んじるほど聖者でもない。
集まった利権は少しは懐に入れるさ。
だが、それ以上に市民の懐を満たす事を私は約束しよう。
私が市民の懐に入れる利権。
それは平和だ」
彼が生前のたまわった政治手法を他の転生者が見たならば、その転生者がある程度の年ならばきっとこんな言葉が出てくるだろう。
『今太閤』と『闇将軍』と。
地球の記憶が曖昧になったこの銀英伝世界においてその言葉が呟かれる事はない。
そして、その清濁併せ呑んだ政治を平和の果実を得た自由惑星同盟は許容した。
経済成長の基礎は治安改善と平和からというのは、間違っていないのだ。
「いらっしゃい。
君達が来るのを待っていたよ」
「……そう言って、本当に掃除をするのはこのあたりではこの家ぐらいですよ。大佐」
『瀟洒』シリーズの副官バージョンとして用意した彼女は相手がヤンという事もあってさらりと毒舌を吐く。
なお、その毒舌の元がどこから来たと尋ねられた彼女は、ヤンの先輩の名前をあげた事でヤンに頭を抱えさせたのだがそれはおいておくとして。
ユリアンがこのメイドと共にヤンの家に来るのはこれが三回目となる。
というか、大佐ともなると高給取りでかつ命のやりとりの高さから家族を持っているか、この手のアンドロイドメイドを雇っているのがほとんどだったからだ。
ヤンがそれを雇わなかったのは、めんどくさいというのとアンドロイドを買う金があるなら資料を買うという趣味人だったからに他ならない。
なお、そんな状況だからこそ、他のボランティアとメイドは対象家庭の人と共に地域清掃に勤しんでいるはすである。
さっきまでユリアン達もその地域清掃に勤しんでいたのだ。
ヤンは堂々と二度寝に勤しんだが、それがある程度許容されているのは、彼が戦場帰りというのも大きい。
「生還おめでとうございます。
そして、大佐昇進おめでとうございます」
「……ありがとう」
ユリアン・ミンツは後に語る。
あの人ほど昇進の祝いに嫌悪感を出した人は居なかったと。
そして、一人と一体による部屋の制圧作戦が開始される。
敵は資料という名の書籍。
分類して棚に直してゆくのだが、ヤンからすれば読みやすいように置いているのでこれが結構不満だったりする。
「ああ、できればその本はそのままにしてくれないかな?」
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