暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
幕間4 「目には見えないけれど」
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・・生き延びるために必死だった奴らに、若しくは生き延び方を知らない奴らに、俺は人生の半分ほどを費やして「クレバーな戦い」を教え込んできた。そんな生徒の中にはその後高い地位を得て、俺を先生、若しくは教官と慕う者も結構いる。その中でも一等俺の後ろをついて回りたがる困ったちゃんこそが、目の前にいるドイツ軍の少佐様である。数多くいる教え子の中でも週一回ペースで俺にメールを送りつけてくるのはこいつだけだ。

「ほれ、ご褒美のチョコバー。新作のミックスベリー味だ」
「わーい!」

餌付けが上手くいきすぎたのもこいつだけだ。ドイツの他の教え子たちはチョコバーという固有のお菓子でなく菓子類というジャンルに興味を示した。しかしラウラだけはこうしてチョコバーに拘り続けている。それほどコイツの印象には残っていたのだろう。何せチョコバーに始まってチョコバーに終わったからな。

はぐはぐと一心不乱にチョコバーを頬張るラウラは軍人としては果てしなく頼りなさそうに見える。いっそのこと兵士を止めてしまえと言いたくなるほどゆるみきった顔に、クラースも苦笑する。コレであれさえなければ微笑ましい教え子で終わるんだが・・・

「それで教官!私を養子にしていただける件ですが・・・」
「してねーよそんな話」

・・・これさえなければなぁ、と頭を抱える。
この件の発端となったのはドイツを去る間際まで遡るのだが、それはまたの機会に取っておこう。


こいつとのじゃれあいが終わったらフィリピンの一件を学園の御上と話し合わなければならない。
絶対難航するだろうな、とクラースは未だ姿を見せない怪物の退治方向を考え始めていた。



= = =



『知らない、なんて誤魔化すなよ。あれはお前の研究室にあったのと同じ装置だろ。デザインは違っても構造で分かるんだよ』
『相変わらずの勘の冴えだな。正解だよ、確かにあれは俺の研究室にあったあれと同じ理論のものだろう』
『・・・お前が作ったものではないと?まぁいい。お前がホイホイと自分の技術を他人に渡すような野郎じゃないのは知ってる。なにせ“3号”の設計図を引いた開発総責任者様だったしな』
『昔の話はよせ、あれはもうとっくに昔に終わったことだ』
『そう、だからつまりはこういうことだ―――まだ終わってない。違うか?』
『何を今更。気付いてたんだろ?』
『俺はお前の口から直接聞きたかったんだよ!』
『そう怒るな。お前には言うまでもないという事だ』
『ちっ・・・こういう時は勘のいい自分が憎いぜ』
『“あの人”を本当の意味で救うためには・・・今は泳がせておく必要がある。既に全ISに“抗体”は配ってあるし、“レムレース”も不測の事態のために忍ばせてある』
『それだよ。その“あの人”とレムレースだ。“あの人”はまだ
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