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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第六五幕 「反省会」
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でに自然と身についているはずの「経験」がごっそり抜けているのだ。経験とは単純な知識だけではない。体に染みついた咄嗟の動きなどの行動記憶も含めて本来あるべき過程がすっぽ抜けてしまっていると言えばいいか。
師である
柳韻
(
りゅういん
)
さんもさぞ困ったことだろう。本来長い時間を掛けて得れば完成しているはずの零拍子が、天性のバトルセンスによって片方の要素だけ習得してしまったのだから。
つまり一夏は――最初から零拍子を習得できてなかったことになる。5,6年間も完成していたものと思っていた奥義がまさかの不完全だったという事実がひどくショックだったのか、一夏はそのままがっくりと肩を落として項垂れた。そしてVTRを見ただけでそこまで理解できたジョウとの見識の差が追い打ちをかけ、真っ白に燃え尽きたボクサーの顔になっている。
「もう分かったろう。付け焼刃の零拍子なんぞ使っても箒ちゃんには勝てねえし、そんな不完全な奥義に体が慣れちまったら余計完成から遠のく。よって禁止!!異議は?」
「・・・ありません」
どこからどう見ても未熟者な一夏に反論の余地などあるはずもなかった。
= = =
「佐藤さん、もう十分っす。後は整備班に任せて休んでください」
「ん、わかった」
後輩にさん付けするのも変だと思いながらも何となくさん付けで呼んだ声に、盛大にぶっ壊れたスラスター類の修理を手伝っていた佐藤の手が止まる。試合終了後に「自分が壊したから」と言って修理の手伝いを申し出てきたことに、最初整備班は反対した。理由は二つ、一つは佐藤が作業に加わっても整備に不慣れな1年生など作業の邪魔になりかねない事。もう一つは佐藤が碌に休まず一直線でここに来たことだ。
ISの操縦には多大な集中力が必要になる。IS操縦者が最も怪我をするのはISから降りた直後というのはIS界隈では有名な話だ。難色を示した整備班だったが、佐藤に「そんなに疲れてないし、派手に壊したものを放って休むわけにはいかない」と頼み込まれ、こちらの指示に従うという条件付きで渋々承諾した。
しかし、優秀な人間とはいるものである。佐藤は最初こそ比較的簡単な整備作業を任されていたが、数分もすると慣れてきたのか猛スピードで仕事を消化し始めたのだ。結果として佐藤の手伝いは段々グレードアップしていき、当初の予定より10分修理作業時間が短縮された。
(そういう所も含めて天才って奴なんっすかね・・・)
整備班の一人――
左近夕貴
(
さこんゆうき
)
は心の中でそうぼやく。
先ほどまでの佐藤の戦いぶりは、整備班も休憩時間の間にモニターしていた。つい数か月前まで一般の学校に通っていたとは思えないほどに華麗な機動。大胆かつ繊細な射撃。ずば抜けた判断力と決断力。どれも他の生徒とは一線を画すものだった。真剣そ
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