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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第六四幕 「親子の在り方」
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上げました。だから、私がやることに口出ししないでくださいまし。
セシリアが家に贈るものには、そういう皮肉なメッセージが込められている。
父には散々ちゃんと向き合ってくれと言われたが、そんなのは向こうから頼まれてもお断りだ。向こうが私を“そう”させたんだ、それが間違っていたから私は今“こう”なっている。そして私はそれでいい。ならば話は終わりである。
つららは絶句した。自分の憧れの人が見せた負の一面に。そして鋼のように硬い、母親に対する明確な拒絶の壁に。セシリア・オルコットと言う人間は
我
(
が
)
・・・つまり自分はこうであるという明確過ぎるほど明確なルールに従って行動する人間である。だが、まさか家族にまでこれほどに正直であることは予想は出来ても少し意外だった。
「・・・お母さんはどう思っているんですか、それ?」
「知りません。あの人とはここ数年会話をしてませんし、送られてきた手紙は中に何が入っていようと全て破り捨てました。父もこれが嫌がらせだと知っていますから嬉しくは思わないでしょうね」
「・・・・・・徹底してますね」
強烈すぎる内容に、つららはその一言を絞り出すので精一杯だった。
余り他人に聞かせる話ではありませんわね、と一言続けたセシリアはふっと自嘲気味な笑みを浮かべる。つららに聞かせるには少し過激だったかもしれない。自分の家族との在り方は何処までも歪んでいるという自覚はあるから、彼女に聞かせるべきではなかったかと少しだけ後悔した。
だが、その思いに反してつららは意外な事を口にした。
「・・・私の家とは、真逆です」
「・・・」
正直、少しだけ息を呑んだ。それは彼女が2度目に訊ねてきたときの顔とも普段見せる顔とも違う、自分の知らない峰雪つららの顔。まるで奈落の底を覗き込んでいるように感情がごっそり削れた、人形のような――箒か誰かがいれば「能面のよう」と表現しただろう――顔だった。
「私の家は、表面上は普通の家族をしてます。でも、中身は何もない空っぽなんです。仮面家族、っていうのかな?ただ社会的にそういうのはおかしいから、表面上は仲良くしようっていう・・・暗黙の了解みたいなものがあって・・・」
好きの反対は無関心。家族と言うコミュニティを形成しているにも拘らず、そこには何の感情も介在しない。
真逆と言うのはつまり、表立った対立も裏の対立も存在せず、代わりに誰にも何も求めていないこと。何も求めないし求められない、愛も助けも存在せず、そこにはただ家庭と言う
体
(
てい
)
のみが存在する。
つららはそうして生きてきた。誰にも求めず、最低限社会的な立場だけそれらしい形を取って、周囲に流されるままに他人の意思に全てをゆだねてきた。何故なら、求めるものが存在しないから。
つららが何故自分に懐いたのか、その理由を垣間
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