暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第六二幕 「代償と結果の黄金比」
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藤さんはISをぶっ壊した手前とっとと帰る訳にはとISの修理を手伝い、鈴は本国に甲龍の修理依頼をしているためここにはいない。
ふと一夏が奥のベッドを見やる。そこには未だ眠ったままの簪が静かな寝息を立てて横たわっている。

「シャルはどうなったんだ?」
「目が覚めた後、僕に一言謝ってから自分で織斑先生の所へ行ったよ。一目で分かる程度に落ち込んでたなぁ」
「千冬姉からの説教か・・・」
「僕は受けたことないんだけど、そんなにひどいの?」
「・・・知らない方がいいこともある」

ふっ、と顔に陰を落とす一夏に?を頭に浮かべるユウも一夏とは別の方向に鈍感なのかもしれない。ユウは不思議と千冬が説教をするところに出くわしたり自分が説教されたことは無いので全く実感がわかないというのもあるのだろうが。顔見知りだからって相手のすべてを知っているわけではないという事だ。

「あ〜あ・・・ひでぇ試合だったな。これじゃジョウさんに笑われちまうぜ」
「そういえば兄さん来ないね。まぁ来ないほうが静かでいい・・・」
「呼んだか〜?」
「「呼んでない(ません)」」

知らなかったか?ブラコンは呼べば来るんだ!(※嘘です)
そこには何故か制服ではなくポロシャツを着たジョウの姿があった。・・・この男、一体今まで何の手伝いをしていたのだろうか?実は南国で遊んでいたと言われても納得しそうな程度に日に焼けているその肌に、手には何やら物が詰まった袋をぶら下げている。

「いやー楯無の所に報告あげてたら遅くなってさー。ま、それはそれとして・・・まずはユウ」
「え?わわっ!」

ぽん、とジョウの掌がユウの上に置かれ、そのまま髪を乱すように乱暴に撫でられる。突然髪をぼさぼさにされたユウが非難の声を上げるよりも早くジョウが口を開いた。普段からは想像もできない、しかし彼に近しいものなら知っているその優しい声色。

「鈴もだが・・・“勝った”みたいだな。おめでとさん」
「・・・うん、僕はまた一つ成長したよ。次は兄さんだから首を洗って待っててね?」
「俺は逃げも隠れもしねえからいつでも来な。軽く揉んでやらぁ!」

一瞬きょとんとしたユウはにやっと笑う。それにつられるようにジョウも不遜に笑う。
ジョウは時折こうして人を褒める。彼が「おめでとさん」の言葉を使う時と言うのはいつも誰かが壁を乗り越えた時。その言葉にはまるで子を褒める親の様な言い知れぬ抱擁感を持つ。特別な事を言っているわけではないが、心に沁みる不思議な響きがあるのだ。もっともめったに聞ける言葉ではないのだが。

「・・・ところでジョウさん。その袋に入ってる“TANDUAY RUM”ってビンなんですか?何か色からして酒っぽいんですけど・・・ジョウさん未成年ですよね?」
「んん?袋の端から何かはみ出て・・
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