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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第六一幕 「リタイア、そしてリスタート」
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前回のあらすじ:ドSの波動に目覚めた鈴音


試合に勝って勝負にも勝ったが、その分の代償は思った以上に高くついた、と鈴はしみじみ思った。

簪とシャルは戦闘の衝撃で気絶し、仲良く医務室へと運ばれていった。手ひどくやられた風花のメンテナンスをしようとしていたユウも医務員に肋骨にヒビが入っていることを看破され強制連行。現在ピッチに残っているのはこれと言って重大なダメージを受けなかった鈴だけだ。

目の前では甲龍と風花が急ピッチで進んでいるが、作業員の顔は一様に厳しい。それはそうだろう、と鈴は思う。風花の推進系が受けたダメージは余りにも深刻だった。あの“グレール・タンペット”はパーツのかなり奥まで突き刺さっていたようで、鈴の目から見ても試合で動いたことが不思議に思えてくるレベルの損傷に見えた。そして甲龍も、あまり良い状態とは言えない。

「・・・龍咆は駄目です。本国に送り返して配線を一から組み直さないと、最悪試合中に爆発しますよ?」
「足の方は辛うじてどうにかなりそうだけど・・・次の試合までにとなるとレスポンス確保できませんねぇ」
「風花の方もオーバーホールしないとダメっしょ。あれ、右腕の配線もガタが来てるしフレームが歪んで動かすと変な音するっす」

そもそもあの切り札はどれも本来ISが想定していない使用法で行ったものだ。それを消耗した状態のISで使えば、当然の如くガタが来る。特に風花の切り札は発射時腕にかかる負荷が異常なまでに大きい。試射の時は姿勢を固定していたからそこまでの消耗にはならなかったが、今回は満身創痍の状態でかなり無茶な加速をしながらの発射。投桃報李のバリア発生装置に至っては完全にオーバーヒートで破損している。こちらも言うまでもなく負荷のかかり過ぎが原因だろう。よくもまあここまでぶち壊したものだ。

鈴は軽く伸びをした後整備責任の男性に歩み寄り一応の確認をした。答えは分かりきっているが向こうもこちらが見ている手前言い出せないのだろう。だからこっちから訊きに行く。

「無理そうですか?」
「・・・ああ、悪いがここまでやられちゃこいつらで試合続行は無理だ」
「気にしてません。どっちにしろ相方がもうドクターストップ喰らったんでこれ以上は無理でしたし」
「そうか・・・」

目に見えて気落ちしているのが分かる。あれだけ激しい戦いを勝ち抜いたにも拘らず機体整備の所為で次の戦いに出られないこちらに申し訳が立たないのだろう。IS整備士というのは総じて必要以上に責任感の強い人間が多い。それはISの調整一つでISを、ひいては操縦者の戦いの部隊を台無しにする可能性を常に孕んでいるからだ。IS学園の正式な公開試合でこう言う事態にあっては、理屈では自分でどうしようもないことが解っていてもやりきれない気持ちがあるのだ。

これ以上
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