暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第六一幕 「リタイア、そしてリスタート」
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ピットに居ても居心地が悪いだけだと感じた鈴は棄権せざるを得なくなったことをユウに伝えに行くことにした。試合に未練はあるが、不思議と後悔はない。と言うかヤリタカッタダケーを全部やれてむしろほっこりしている位だ。だから後は・・・簪の洗脳が解ければ万事解決だ。

(守れたよね、アタシの居場所)

とても小さな、しかし鈴にとっては何より大切な自己満足。それを確かめるように胸に手を当て、鈴は医務室へ足を運んだ。



 = =



謝罪とはとても大切なものだ。自らが過ちを犯したと思った時は勿論、たとえ自分が悪くないと思っても謝らなければいけない場面だって社会には多く存在する。しかし謝罪にはとても重要なポイントが存在し、それを押さえていない謝罪など意味がないと言っても過言ではない。それはすなわち―――

「申し訳ございませんでした」
「あ、あの・・・」

―――何に対してどう思って謝罪をしているのかが表現できているか、である。

「困ったな・・・取り敢えず頭をあげてもらえませんか?」
「いいえ、まだ上げる訳には参りません」

ほとほと困り果てたユウは助けを求める様に保健室の面々を見るが、保険医さんは気を利かせたのか席を外しており、残るは意識の無い簪とシャル、そして居眠り中のベルーナだけである。孤立無援とはこのことか、と肩を落とす。
試合終了後すぐに運び込まれて精密検査の後に肋骨治療用のコルセットをはめてベッドに放り込まれたユウの前にこの中老の男が現れたのはほんの数分前、なのだが・・・その数分前からこのいい年した成人男性はずっと理由も言わずに頭を下げ続けている。

この人が誰かは知っている。最上重工代表取締役社長、最上景雲(もがみけいうん)その人―――つまり、風花を作った会社の社長である。一度だけ顔も合わせたことがあった。マルチウォーカーという汎用作業パワードスーツの開発などで世界的な実績を持ち、冗談半分に「国連が開発中の外骨格に使われている技術は7割方マルチウォーカーの流用」という言葉が実は本当だったりする世界的企業の最高責任者で齢50歳を越えた社長が急に医務室に入ってきたときは非常に驚いたものである。

「あの、最上社長。僕は書類上は最上重工のテストパイロットという事になっています。言わば貴方に雇われている身で・・・その」
「その雇い主である私が頭を下げねばならんと判断したのです」
「いえ、その・・・何に対して謝っているのかがさっぱり見えてこないんです。ちゃんと筋道を立てて説明してもらえますか?」
「・・・・・・確かにその通りです。言葉足らずで申し訳ない」

漸く頭をあげた社長。その表情は険しいと同時に申し訳なさのようなものも感じる複雑なもの。申し訳ないと言えば盛大にフレームを使い潰してしまったこちら
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