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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第4話:ハイジャック事件−4
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思ってたんだよ」

「それって、私じゃ頼りないってことですか?」

ティアナが俯きがちに少し低い声で言うと、ゲオルグは首を横に振った。

「そうじゃない。 フェイトは産休明けで身体がなまってるだろうから
 こういう仕事にうってつけだと思ってたんだよ」

ゲオルグはそう言うと、机を回り込んでティアナのすぐそばまで歩いて行く。

「ウチは純然たる実戦部隊だから、こういう捜査活動には慣れてない
 連中がほとんどだ。 頼りにしてるぞ」

ゲオルグはそう言ってティアナに向かって右手を差し出した。

「はい。 全力でやらせていただきます」

ティアナはニコッと笑うとゲオルグの手を握った。

「ようこそ、ハラオウン少将の強制労働キャンプへ」

「それ、冗談にしても笑えませんって・・・」

苦笑したティアナがそう言うと、2人は声をあげて笑い始めた。





部隊長室を出たゲオルグとティアナは、ハイジャック犯たちを収容している
地下に向かって歩いていた。

「ところで、今回の件についてどこまで聞いてるんだ?」

「通りいっぺんのことだけです。 報道以上のことはほとんど聞いてません。
 少将からは、詳細はゲオルグさんに聞くように言われてます」

「ったく、あの人は・・・」

ティアナが真面目な顔で答えると、ゲオルグは呆れたように大きくため息をつく。

「なら、事件については概要から説明しておく」

「はい、お願いします」

ティアナは少し背を伸ばして頷く。

「事件の発生は、昨日の午前9時30分ごろ。
 場所はミッドチルダ中央次元港だ。
 出発準備をほぼ終えた定期民間次元航行船を一部乗客が武器を使って
 操縦室を占拠して乗っ取った。
 乗っ取り犯は10名。 武器は拳銃とライフルが各数丁だ」

歩きながらゲオルグが話す内容をティアナはメモしていく。

「事件発生から30分後の午前10時。
 次元港の警備部隊が突入作戦を実行するも失敗。
 この際、次元港の敷地外にある商社の保税倉庫からの狙撃が実行されている」

「狙撃・・・ですか?」

メモから顔をあげたティアナの問いかけにゲオルグは頷く。

「そうだ。実弾を使用した・・・な」

「実弾ですか!? ずいぶんと物騒ですね」

目を丸くしたティアナが声をあげると、ゲオルグは立ち止まって
ティアナの顔をじっと見る。

「同感だ。 俺達でどこまで捜査ができるかは判らないが、
 物騒だからこそ背後関係まで洗いざらい解明したい。
 それにはティアナ、お前の力が必要だ。 頼りにしてるからな」

ゲオルグが真剣な顔でティアナに向かって放った言葉は、
ティアナの心構えを引き締めるに十分な力を持って
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