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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第4話:ハイジャック事件−4
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るクロノの言葉に、ゲオルグは大きくかぶりを振る。

「そういうことを聞いてるんじゃないんですよ!」

ゲオルグはわずかに顔を紅潮させて右手に持った紙を振りまわす。
その紙を不機嫌な顔をしたチンクが手を伸ばして取った。

「人の耳元で叫ぶな、まったく。 いったい何が・・・」

チンクがゲオルグから奪いとった紙に書いている内容を一見した瞬間に
その表情は一変した。

「なるほどな・・・ゲオルグがいきり立つわけだ」

チンクは納得顔で頷くと、クロノの方に目を向ける。

「少将、さすがに部隊長と分隊長が姉弟というのはいささかマズイのでは?」

チンクはそう言って手に持っていた書類を机の上にパサリと投げる。
その紙にはエリーゼの顔写真と経歴・能力などが詳しく書かれていた。

「そんなことを意に介する必要はない。
 それに、ゲオルグもそんな理由で怒っているわけじゃないんだろう?」

「そうなのか?」

クロノとチンクの二人にじっと見つめられ、ゲオルグは怒気を収めて
その上半身をソファの背に持たせかける。
その顔面に浮かんだ表情は不機嫌そのもので、眉間には深いしわが刻まれていた。

「姉ちゃんが部下だなんてやりづらくてしょうがないんだよ。
 今回、仕事場で会ったのだってちょっと気まずかったしな。
 それが今度は毎日だぞ。 やってられるかよ」

チンクに向かって吐き捨てるように言うと、次いでゲオルグはクロノに目を向ける。

「大体ですね、何で姉ちゃんがウチの分隊長候補なんです?
 そこまで高い能力はないはずですけどね」

ゲオルグが肩をすくめて言うと、クロノはテーブルの上の書類を拾い上げながら
ゲオルグの顔を鋭い目で見る。

「そういうセリフはコイツをきちんと読んでから言ったらどうだい?」

「そんなもの読まなくても判って・・・」

「いいから読め!」

厳しい口調でクロノに言われ、ゲオルグはしぶしぶクロノが差し出す紙を受け取り
その中身に改めて目を通し始めた。
面倒くさそうに読み進めていくゲオルグであったが、中身を理解するに従って
その表情が真剣なものに変わっていく。

(魔導師ランクが陸戦Aだって!? しかも陸戦戦術の評価も高い・・・
 いつの間にこんな・・・)

ゲオルグが顔をあげて見開いた目でクロノの顔を見る。
表情からゲオルグが自分の言いたいことを理解したと判断したクロノは小さく頷く。

「見ての通り、彼女は今や一線級の陸戦魔導師であり前線指揮官だよ。
 そして、彼女は接近戦に強い。 ポジションで言えばフロントアタッカーだ。
 この特性も彼女が特殊陸戦部隊の分隊長に適する理由のひとつだ」
 
「なるほど。 新体制での分隊長のうちティアナとウ
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