歓迎
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できないために、時計を見る。
時刻は午後五時を差していた。
まだ少し時間がある。
ならばと防寒着をさらに厚く着込んで、被り慣れないベレー帽を外す。
向かうは基地と外部を隔てる分厚い隔壁だ。
二段階もの厚い扉をくぐれば、寒波と暴風がアレスを襲った。
わずかに開ける瞼に容赦なく叩きつける雪を払いのけ、周囲を見渡す。
自由惑星同盟が作られた基地は山岳を掘り抜いた坑道だ。
戦闘機やヘリの類が使えない状況であれば、ここに向かうには一本の山道を使うしかない。
山道と基地前を繋ぐ場所は装甲車と除雪車に阻まれ、容易には攻め立てる事はできない。
先ほど見かけたフェイスガードの兵士が、装甲車から頭だけを出して、山道を監視している。
緊急時には装甲車による面に対する砲撃が、敵を迎え撃つ。
ハイネセンからの長い旅路で、頭に叩き入れた防御態勢が思い浮かんだ。
正確に言えば、それ以外の防御態勢はとれないのだろうと思う。
環境の厳しさが攻撃や守備を画一的なものに変えてしまっているのだ。
しかし、カプチェランカか。
その名前に聞き覚えがあっても、どんな基地であったかなど頭に入っていない。
行きの船の中で必死になって思い返してみたが、ラインハルトが殺されかけたという基本情報以外に思い浮かぶことはなかった。
同盟基地は攻められるのだったろうか。
ならば、あの天才はどう攻めてくる。
雪深い地面を歩き、アレスは周囲を見渡す。
敵の目的は、そして、それはこちらの目的にも言えることであるが、基地施設の破壊が主となるだろう。正確に言えば、資源の採集プラントの破壊だ。
プラントが破壊されれば、再びプラントを建設するのに時間も費用もかかる。
逆に言えば、費用と時間さえあれば、一つの施設を失っても、また別の場所に建設することが可能であるのだが。
しばらく歩きまわって、アレスは周囲の観察を続けた。
入口近くの兵士が、そんなアレスの様子に気づいた様子であったが、声はかけてこない。
おそらくは士官学校のお坊ちゃんが、物珍しく観光をしているだけとでも思っているのであろう。すぐに興味を失って、再び山道の監視に意識を戻していた。
まあ、間違いではないんだけどな。
雪の中に伸びた道が、左右に続いている。
山道を使わず、左右の山を見れば、決して歩くことは不可能ではないようだ。
もっとも装甲車を使わない現状であれば、十分ほど外にいるだけで既に冷え始めた気温を考えて、長い間歩くことはできないだろう。
基地の周辺を一回りすれば、アレスは入口の方へと足を進めた。
装甲車やミサイル車両に混じって、基地建設用の工作機器が置かれている。
外周部が雪で覆われているそれを、アレスは手で払
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