第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
ナルト
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くつくつと残酷に笑うドスを、口からも鼻からも耳からも血を流しながらナルトが睨みつけた。
――もうムリだ! ナルトが、ドベのナルトがこんな奴に勝てるわけねえ……!
キバは顔を青くしてナルトを見下ろした。最初からわかってたんだ、彼は思った、ナルトなんかがこいつに勝てるわけねえ。
視界は歪み、ドスの体は波打つように揺れ、試験官のハヤテも、ガイとハッカが目指そうとした、東を面した手の像も、全てが波打つように、陽炎のように揺れ動いていた。ドスの声はくぐもって聞き取りにくくなり、何を言っているのかは全く理解できなかったが、多分いいことを言ってるのではない、ということはわかった。あと、「ワタリガラスは目玉がすき」という言葉だけはちゃんと聞き取れた。
「くっそお!」
偶々眼前に落ちていたクナイを拾い、ドスに向かって構える。ドスはくくっと更に笑い声をこぼし、ホルスターを取り上げると、その中のクナイや手裏剣を全部地面に向かってばらまけた。
「さあ、やってみてください。これら全部の一つでも僕にあてられるか、試してみてくださいよ!」
言いながらドスは、ナルトから距離を取った。背中はズキズキと痛むし、顔はドスの一撃を受けて真っ赤に晴れ上がっていたし、口の中には自分の吐いた血と鼻血の味が混ざり合って鉄くさかったし、耳から流れる血は不快だったし、何より目の前の光景はぐわんぐわんと波うち揺れ動き、どこからか聞こえるサクラの声らしきものもよく聞き取れなかった。
そんなナルトの為にドスはわざわざ一言一句、ゆっくりハッキリ発音してくれたのだろう。意味はよくわかった。ふらふらしながらナルトはクナイを掴んで、波打つドスの姿に向かって投擲した。ドスがそれを弾き飛ばしたけれど、多くは彼が弾き飛ばすまでもなく地面に零れ落ちた。ナルトはクナイを掴み、ドスに飛びかかった。
「――動かないほうがいいのに」
そう言ってドスが飛び上がると、ナルトは壁に激突して、ふらふらと後退した。気配を感じて振り返るのと同時、ドスの腕が強烈な勢いを以ってナルトを殴り倒す。ぐったりと前のめりに倒れるナルトを見据え、はあ、とドスは溜息をついた。
「どうせならサスケくんと戦ってみたかった」
その何気ない一言に、ナルトの指がぴくん、と反応した。サスケ。サスケ。サスケ。
思い返せば皆サスケサスケサスケのサスケ祭りだった。
数週前に道端で我愛羅、テマリ、カンクロウの三人に出会えば、我愛羅が知りたがったのはサスケの名前だし。試験の始まった当日、ネジが話しかけたのはやっぱりサスケだし。いのとサクラが喧嘩してた理由も、サスケだし。あの草忍の目当ては、やっぱりサスケだし。こいつもやっぱ、サスケサスケうるさいし。
「うっせえ……ッ」
ナルトは這って進み、そし
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