暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
歌い手と笛吹き、出会う
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けれど。
 初めまして。私は“音楽シリーズ”、“笛吹き”のギフト保持者、“グリムグリモワール・ハーメルン”所属の、“ハーメルンの笛吹き”、ラッテンよ」
「自己紹介、ありがとうございます。僕は“音楽シリーズ”、“歌い手”のギフト保持者、“ノーネーム”所属の、“奇跡の歌い手”、天歌奏です」

 僕の自己紹介を聞くと、ラッテンさんは嬉しそうな顔になる。

「歌ってたから予想はしてたけど、やっぱり“奇跡の歌い手”なのね♪ついてるわ、私!」
「どういうことですか?僕は他の“音楽シリーズ”と違って、どんな状況でもギフトが使えますよ?」

 僕は少しでも状況を有利なものにしようと、強気に出る。

「別に、それくらいはどの“音楽シリーズ”でも大差ないもの。それよりも、貴女が歌い手で、今回の目的だってことのほうが重要よ」
「僕なんかがですか。光栄なことですね」

 そして、タイミングをうかがう。
 他の皆も、僕に合わせて動けるようにと準備をしてくれている。

「貴方はもう少し、自分の立場を考えたほうがいいわよ」
「自覚はしているつもりですよ。自分がたいしたことないくらい」
「やっぱり、自覚してないわね。今このゲームに参加してる中では一番の、白夜叉にも並ぶ脅威なのよ、“音楽シリーズ”歌い手のギフト保持者は」

 ラッテンさんは、本気で呆れたように両手を上げ、目を瞑った(・・・・・)

「Gu-ten A ? bend,gut’ Nacht」

 そして、その隙に子守唄を歌い、火蜥蜴の皆さんとラッテンさんを眠らせようとする。
 が・・・

「無駄よ。もしかして知らないの?」

 ラッテンさんは・・・いや、誰も歌の影響を受けていなかった。

「もしかして、知らないのかしら。なら特別に教えてあげるけど、“音楽シリーズ”に“音楽シリーズ”は効かないわ。そして、他のギフトを使いながらの音楽に、何も使っていない音楽が負けるはずがない」
「それは、初耳ですね・・・」

 予定が一気に狂った。
 もう、僕には勝算がない。

「へえ・・・まあ、“音楽シリーズ”についてはいまだに知らないことだらけだし、白夜叉に聞いてなくてもおかしくはないわね」

 そう言ってラッテンさんはギフトカードを取り出す。

 そして、カードが光り・・・中から、黒い風が噴き出してくる。
 正体は分からないけど・・・間違いなく、危ない。

「すう・・・わあ!」

 直感的にそう感じたので、僕は少し息を吸って、音響操作を使って振動により吹き飛ばす。

「春日部さん、予定変更!今すぐに此処から逃げよう!」
「分かった。少し待って!」
「いえ、またないわ」

 そして、ラッテンさんはフルートに口をつけ・・・音楽を、奏でる。
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